ひとりの女性との出会いが、血に染まった主人公の運命を変えてゆく

「Pray for You」は、「邪神」といわれる少女をめぐる戦いが描かれた短編ファンタジーRPG。時は新世界歴1491年。「カルセドニア」と「バルディア」の二国間では長い戦争が続き、カルセドニア国内でも「和平派」と「戦争派」とが争っていた。ゲームの主人公は、カルセドニアの帝都「キルナス」の教会で神父をしている「ゼロ」。人々からの信頼も厚く、人望もある青年だが、裏では教会保有の暗殺集団「リブリ・ディウィニ」のメンバーでもあった。

リブリ・ディウィニは13人からなる凄腕の暗殺集団で、任務は主に三つ。ひとつは、依頼を受けてターゲットを暗殺すること。二つめは神の尖兵として、邪教徒や異端を抹殺すること。そして三つめは、神の敵である邪悪な存在「邪神」を駆逐すること──これらの目的のため、ゼロは仲間とともに日々、その手を血で染めていた。

ある日ゼロは、キルナスの公園で優しそうな美しい女性に出会う。額に青く輝く角を持ち、ケガをした子どもを回復魔法で直していたその女性こそ「滅びの蒼角」と呼ばれる、邪神たちの王「フィリス・ラングレー（フィル）」だった。ゼロは早速、フィルのことをリブリ・ディウィニの仲間たちに報告。合議により、ゼロがフィルを殺すことに決定する。

再びフィルと会ったゼロは、彼女と剣を交えるが、殺す寸前のところで逃げられてしまう。しかし、どうしてもフィルが邪悪な存在だと思えないゼロは、逃げたフィルを探し出し、話をすることにする……。

戦闘はテンポのよいアクティブタイムバトル！

戦闘システムは、ハイテンポなアクティブタイムバトル。一部のイベントバトルを除き、ランダムエンカウント方式が採用されている。戦闘画面では手前に味方、奥に敵が配置され、味方のHP/SPが表示される。

戦闘がはじまると、まずHP/SPの下に表示されたゲージがたまる。ゲージが最大までたまると、敵への攻撃が可能になる仕組み。攻撃方法は物理攻撃とスキル攻撃の2種類。スキルには攻撃魔法のほかに、回復などの補助魔法も存在する。

主人公・ゼロは両手に剣を持つ。2回攻撃できる分、スキル攻撃よりも物理攻撃の方が効果的だ。スキルはHP/SP、状態異常の回復のときなどに使い、敵への攻撃は物理攻撃を中心に行うのが効率的。バトルでは複数人を相手にすることも多い。敵によってHPの数値が異なり、一撃で倒せる敵もいれば、何度も攻撃しないと倒せない敵もいる。バトルをこなすうちに敵のステータスを把握し、なるべくHPの少ない敵から攻撃して、敵の数を減らしたい。

邪神・フィルとゼロの関係も興味深い。出会ったばかりのとき、普段冷静なゼロが美貌のフィルを前に、浮かれた台詞を口走ったり、焦ったりする姿は微笑ましかった。フィルが邪神とわかってからも、彼女を邪悪だと思えないゼロの心の葛藤にも注目したい。傷を負ったフィルを助けた際の「（フィルが邪悪かどうか）答えが出るまで生かしてやっているだけだ」という台詞は、ゼロの「ツンデレ」な性格をよく表した名言だと思う。

戦闘は全体的に難易度が低く、テンポがよい。マップ上でのエンカウント率は高めだが、ストレスを感じることがなかった。特に序盤からゼロのステータスはかなり高く設定されており、敵をサクサク倒せる。戦闘を邪魔に感じることはなく、物語をじっくり楽しむことができる。カルセドニア国内を混乱に陥れている「和平派」と「戦争派」の争い、リブリ・ディウィニに所属する暗殺者たちのそれぞれの思惑、そして邪神・フィルの存在──さまざまな要素が絡み合った、非常におもしろいエンターテインメントストーリーに仕上がっている。良質なファンタジーストーリーを楽しみたい人に、ぜひお勧めしたい作品だ。

開発中に苦労した点
シナリオの流れの中に、いかにダンジョン攻略やザコ敵との戦闘などゲーム的な要素を入れるかに苦労しました。

ユーザのみなさまへ
2時間映画を意識した展開でシナリオを作っておりますので、2〜3時間ぐらいでクリアできるかと思います。拙い点は多いかと思いますが、楽しんでいただければ何よりです。

今後のバージョンアップ予定
ひと通りのバグ修正も行いましたので、特にバージョンアップの予定はありませんが、新規のバグ報告等がありましたら、対応していきたいと思います。