さまざまな要素がコンパクトにまとめられた、完成度の高いRPG。王女と二人の女騎士を中心に展開される、ちょっと甘めでコミカルな物語
「王女様と薔薇の騎士」は、王女専属近衛兵団の団長である若き女性騎士「ガラテア」を主人公にした、ほのぼのコミカルタッチのRPG。快適なシステムと甘めの設定で、モンスターとの戦闘もサクサク進む。プレイヤーの選択により、凛々しい女騎士の物語から、女の子同士のライトなイチャイチャぶりまでを楽しめる。
ゲームの舞台は、美しい自然に囲まれた豊かな国「ラオメディア」。王女「アトレイシア」が16歳の誕生日を迎えた日、王女専属の近衛兵団「プリンセスガード」が創設される。初代団長に任命されたのは、平民女子で構成された「薔薇騎士団」の団長「ガラテア」。……といっても、王女のわがままで、「薔薇騎士団」がそのまま「プリンセスガード」にスライドしたのが実態。ただし、このことは、王女の命でガラテア本人には知らされていなかった。
誕生日当日、王女自らの口でそのことを知らされ、当惑するガラテア。その場で命じられた初の任務は、近ごろ城の近辺で発生している、魔物による被害の原因を究明すること。そのために、東の森にある洞窟を調査することだった。
調査には王女も随行するという。当然、ガラテアは王女を止めるが、聞き入れるどころか、ひとり先に東の森へと出立してしまう。かくして王女アトレイシアと若き騎士団長ガラテア、そして団員「レベッカ」の三人の物語がはじまる……。
百合度を高めることで、凛々しいガラテアのダメダメなセリフを楽しめる
ゲームの内容は、パーティを組んでダンジョンの中を探索し、出遭ったモンスターと戦って経験値とお金を稼ぐというポピュラーなスタイル。ただし「王女様と薔薇の騎士」では、主人公のガラテアが移動できるのは、城の中および王女と一緒に出かけたダンジョンの中だけ。ゲーム内でのガラテアの行動は、
- 起床後、城の中を歩き回って城の住人たちと会話をし、情報を収集したり、回復アイテムを購入したりする
- 王女の部屋に赴き、その日の出撃先を命じられるか選択する
- モンスターと戦いながらダンジョンの中を探索し、その日の目標を達成する
- 探索を終えて城に帰還後、城の中を歩き回って1.と同様、人々と会話をし、情報収集やアイテムの購入をする
- 自室に戻って眠りにつく(休む)
を繰り返すこととなる。シナリオがある程度進むと、5.で「休む」以外に「深夜を待つ」という選択もできるようになり、深夜の行動も可能になる。プレイヤーが適切な行動を取って条件を満たすと、城の中での行動中に他のキャラクタが話しかけてきたりして、シナリオが進む。さらに「王女様と薔薇の騎士」ならではのユニークなシステムに「百合ゲージ」がある。他のキャラとの会話中、選択肢とともに「百合度」と書かれたゲージが表示されることがある。百合度は、プレイヤーの選択で10%ずつアップさせることが可能。百合ゲージのたまり具合にによって、シナリオがノーマルなものから百合テイストなものへと変化してゆく。
敵との戦闘がサクサク進む快適な戦闘システムは特筆モノ
ダンジョンでの戦闘には、武器、防具、装飾品の3種類の装備が影響する。ひとつの武器には通常攻撃のほか、3種類の武器技が用意され、WPを消費することで、より強力な攻撃を発動できる。ただし、3種類の技のうち最初から使えるのは2種類。残りのひとつは、その武器を使っているうちに戦闘中、突然閃いて使えるようになる。武器以外の装備では「装飾品」にも技がついていることがあり、装備すれば使えるようになる。ただし、装飾品についている技は1種類で、閃きもない。
「王女様と薔薇の騎士」には、武器屋や防具屋は存在しない。3種類の装備品は基本的にダンジョン探索で宝箱から入手するか、敵モンスターのドロップ品として入手するかしかない。HP/WPを回復させたり、知性やスピード、パワーなどのパラメータを強化したりできるアイテムなどは、ダンジョン内で入手できるほか、城の中で購入することも可能だ。
戦闘で特筆すべきなのが、キャンセル(【Esc】など)キーを1回押すだけで、アトレイシア、ガラテア、レベッカのそれぞれが直前に行った行動(攻撃、武器技、防御など)をまとめてリピートさせられること。戦闘中に毎ターン、各キャラの行動を指示する必要がなく、快適に戦闘を行うことができる。
基本的には戦闘による死亡はない。HPが0になっても気絶して行動できなくなるだけで、戦闘終了後はHP1の状態で回復する。たとえ全員が気絶しても(一部の戦いを除いて)ガラテアが退路を確保しており、ゲームオーバーにはならない。