Windows 7/VistaのAeroにも対応した「Parallels Desktop for Mac」の新バージョン。仮想化エンジンの改良が図られ、パフォーマンスも向上した。「Parallels Desktop for Mac」は、Intel CPU搭載のMacでWindowsやLinuxなどのOSを動作させるための仮想化ソフト。Snow Leopard(Mac OS X 10.6.x)に最適化された新バージョン「5」では、Aeroに対応したほか、OpenGL 2.1、DirectX 9.0c/9Ex(Shader Model 3搭載)にも対応。Windowsで3Dゲームなどがより快適に動作するようになった。仮想CPUの割り当て台数は最大8台に増えた(従来は最大4台)。対応するMac OS Xは10.4.11以降/10.5.2以降/10.6.x。
Mac OS X上に仮想マシン環境を構築し、その上にゲストOSをインストールして動作させるもので、インストールからゲストOSの起動までは次のような手順で行う(Windowsの場合)。
- 仮想マシンの名称および作る場所(ボリューム/フォルダ)を指定する。インストール済みの仮想化OS環境(Boot Camp/VMware Fusion)がある場合は、その設定を変換してインポートできる
- 仮想マシンにWindowsをインストールする(インストール用DVD/CDまたはイメージファイル(ISO)を指定する)
- インストール後、自動的にWindows OSが起動し、セットアップが開始される。Windows OSのユーザ認証なども同時に行われる(インターネットに接続しておく必要がある)
インストール後は、Mac OS Xを再起動することなく、仮想マシン上のOSを利用することが可能。例えば、MacとWindowsを同時に起動させたまま、Windowsアプリケーションを使えるなど、複数のOS間をスマートに行き来することが可能だ。仮想マシンの表示モードは5種類。従来バージョンの4モードに加え、「5」では新たに「クリスタル」が追加された。
- ウィンドウ(デフォルト):仮想マシンのデスクトップをMac OS Xの一つのウィンドウとして表示する
- フルスクリーン:仮想マシンをディスプレイ全面に表示する
- コヒーレンス:仮想マシンのアプリケーションウィンドウだけをMac OS Xのウィンドウとして表示する
- クリスタル:コヒーレンスと同様、アプリケーションごとのウィンドウだけを表示する。「Parallels Desktop for Mac」のメニューバーが消え、各ウィンドウにそれぞれのアプリケーションのメニューが表示される
- モダリティ:Mac OS Xの作業中は、仮想マシンの画面を縮小+透過ウィンドウで最前面に表示する(仮想マシンでの作業中はウィンドウモードと同じ)
標準状態では、ウィンドウモードでも画面上部のツールバーなどはなく、仮想マシンのデスクトップだけがすっきりと表示される。表示モードの切り替えやシャットダウン/サスペンドなどといった仮想マシンへの操作は、画面下部のステータスバーにあるボタンから行える(通常のツールバーを利用することも可能)。新バージョンでは、フルスクリーン時に特定位置(画面四隅から選択)のマウスクリックにより、瞬時に表示モードを切り替えられる「アクティブスクリーンコーナー」も追加された。さらに、フルスクリーンで複数のディスプレイを同時に利用することも可能になり、ディスプレイ周りの機能性が一層充実した。
仮想マシン上のOS(ゲストOS)とMac OS X間、あるいは仮想マシン同士で、シームレスに使うためのユーティリティが「Parallels Tools」だ(ゲストOS別に用意される)。対象のOSと同時にインストールされ、ビデオ/サウンド/ネットワークなどの必要なドライバが組み込まれる。
仮想マシンは、個別にシャットダウンできるほか、サスペンド(スリープモードとほぼ同じ)や一時停止(仮想マシンで利用するCPUやメモリを解放)の操作も、実マシンと同様に行える。なんらかのトラブルで仮想マシンが動作しなくなったときなどには、強制的にストップ(終了)/リセットすることも可能だ。
ディスク領域を効率的に使うためのツールとしては「Parallels Image Tool」「Parallels Compressor」が用意されている。仮想マシンで使用するハードディスクの容量を簡単に変更できるほか、使用していないディスク領域を自動的に再利用するなど、ハードディスク容量を節約しながら、効率的に使えるようにしてくれる。
そのほか、外部デバイスとしてiPhone/iPod touchの接続も可能だ。