Windows上で動作するプロセスの負荷を調整し、システム全体のレスポンスや安定性を向上させるユーティリティ。「Process Lasso(プロセス ラッソ)」は、Windows上で動作しているすべてのプロセス(プログラム)の基本優先度や利用可能なCPU数、同時実行可能なインスタンス数などを調整できるシステム設定ユーティリティ。CPUパワーやメモリといった限られたリソースを効率よく利用することで、システムの負荷状態を調整し、システム全体のレスポンスを高めたり、クラッシュを予防したりできる。特別な知識がなくても、インストールして実行するだけで、最適な状態に調整してくれるのが特徴。特定のプロセスの設定内容を、ユーザが個別にカスタマイズすることも可能だ。
メイン画面は上下方向に三分割された構成。上段には、現在のCPU使用率やメモリ利用量、プロセスの応答(レスポンス)などがグラフ表示される。中段は「実行中プロセス」をリスト形式で一覧表示するペイン。プロセス名(実行ファイル名)やプログラムの名称、プログラムを実行したユーザアカウント、CPU使用率やメモリ使用率などが表示される(Windows標準の「タスクマネージャ」の「パフォーマンス」や「プロセス」で表示される情報がより詳しく表示されると考えればよい)。下段に表示されるのは、最近の動作が記録された「アクションログ」だ。
プロセスの(現在の)設定内容を個別にカスタマイズすることも可能。「実行中プロセス」リストのダブルクリックまたは右クリックでメニューが表示され、設定内容をカスタマイズできるようになる。カスタマイズできるのは、
- プライオリティクラス
- CPUアフィニティ
- デフォルトプライオリティ
- デフォルトCPUアフィニティ
- インスタンスカウントの制限
など。「プライオリティクラス」は、複数のプロセスが実行状態になったときのプロセスの実行優先度のこと。ほとんどのプロセスは「普通(通常)」に設定されているが、より高いレスポンスが必要なプロセスを「標準以上(通常以上)」に設定すれば、「普通」に設定された他のプロセスよりも優先して実行されるようになる。選択できる優先度は「普通」を含めて6段階。ただし、負荷の高いプロセスにあまり高い優先度を与えると、他のプロセスはほとんど動作できなくなる。逆にシステムに負荷をかけ過ぎるプロセスの優先度を下げれば、他のプログラムが動作しやすくなる。「CPUアフィニティ」は、(マルチコアを含む)複数のCPUを搭載した環境で「特定のプロセスがどのCPUに割り当てられるか」を示すパラメータのこと。例えば、2CPUのシステムでアフィニティが「0,1」の場合、このプロセスはどちらのCPUでも実行できることを示す。アフィニティが「0」の場合はCPU1のみで実行され、CPU2では実行されない。
「インスタンスカウントの制限」では、同時に実行されるプロセスの数を制限することが可能。設定したインスタンス値を超えた場合は、プロセスが中断される。
プロセスの優先度やアフィニティなどは、Windows標準のタスクマネージャでも設定できるが、「Process Lasso」の大きな特徴は「システムが最適になるよう、各種パラメータが自動的に設定される」こと。「プロバランステクノロジー」と呼ばれるこの機能では、フォアグラウンドプログラムのレスポンスが低下しがちな高負荷状態で、バックグラウンドプロセスの優先度を自動的に判断して、低下させる。調整はシステムの負荷に応じて動的に行われ、バックグラウンドプロセスの実行にもさほど影響を与えることはない。
「プロバランステクノロジーの実行時に、どのようなパフォーマンス調整を行うか」は、ユーザが設定できる。コンピュータの性能や利用状況に応じた最適な設定を行える。ゲーマー向けに、特にフォアグラウンドのゲームプログラムを高パフォーマンスで動作させられる「ゲームモード」や、暴走などが原因でCPUを占有してしまうプログラムの優先度を自動的に低下させる機能などもある。
そのほか、仮想メモリの使い方を定期的に最適化することで、アプリケーションのメモリ使用状況を改善したり、Windowsシステムが持つプロセス切り替えタイミングを調整したりといったことも可能。プロセス制御で必要な機能を網羅している。