大航海時代を舞台にしたシミュレーションゲーム2作品のプレミアムセット。未知の領域に艦隊を派遣し、その報告をもとに世界地図の未完成部分を埋めてゆく。根強い人気を誇る名作「THE ATLAS」シリーズの2作品が完全復活
「THE ATLAS レジェンドパック」は、シミュレーションゲームの名作「THE ATLAS」「THE ATLAS II」の2本が収録されたセット。いまだに根強いファンを持つ初期2作品を、当時の雰囲気そのままに完全再現。PC-9800版の音源が忠実に再現されているほか、発売当時の懐かしい資料も多数、収録されている。探検の資金を貿易で稼ぎ出し、探索で得られた情報を取捨選択しながら、世界地図を完成させよう。
「THE ATLAS」シリーズの特徴は、なんといっても独特なゲームシステムと世界観にある。大航海時代をモチーフにした他の多くの作品とは異なり、軍用艦による海戦も冒険活劇的なシーンも一切ない。ゲームの目的は、探検から得られた情報をもとに地図を少しずつ作成し、最終的に「世界大地図帳(ワールドアトラス)」を完成させて、世界の姿を明らかにすることだ。
発見される島や大陸は、必ずしも現実の地形と一致するとは限らない。探検によってもたらされた報告を「信じる」か「信じない」かの選択肢があり、信じたことだけが世界の真実となる。そのため、時には現実に存在しないはずの陸地が存在することになったり、見たことも聞いたこともないような不思議な生物や文化が登場したりすることもある。こうした「現実と虚構が入り交じった不思議な世界像を少しずつ完成させてゆく」点が最大の魅力といってよい。
探検の費用を捻出するには「貿易」も重要。すでに発見された都市と都市の間に「貿易航路」を開設し、産物の交易によって資金を稼いでゆく。いかに収益性がよく、長続きする貿易航路を開拓できるかがプレイヤーの腕の見せ所。「宝物」の発見や「イヴラークの骨」の謎解きなどの楽しみも用意されている。
派遣した探検船団の提督からの報告をもとに、世界の全体像を明らかにする「THE ATLAS」
「THE ATLAS」は、記念すべきシリーズ第一作。クラシカルなデザインと特徴ある独特なユーザインタフェース、徹底した間接的なゲームシステムなどで、非常に高い評価を得ている。
時代は15世紀。プレイヤーはポルトガルの首都・リスボン在住の貿易商となり、ポルトガル国王・アフォンソ五世の命を受けて、ポルトガル南方の探索を5年契約で請け負う。ただし、あくまでも貿易商なので、自分自身で探索に出かけることはない。探検船を購入して船団を編成し、有能な提督を雇って指定の航路を探検させ、探検から戻った提督からの報告を聞いて、島や大陸の「海岸線」を世界地図に記してゆく。
特にユニークなのが、提督の報告を「信じる」か「信じない」かを指定できるシステム。信じた場合は海岸線が確定するが、信じなかった場合には提督を派遣するたびに地域の様子が変化する。発見された土地の産物や動物なども変化するため、まったく同じマップは二つと存在せず、この世で唯一無二の自分だけのマップが作成される。
5年の間、国王からは毎年、1万枚から8万枚の金貨が下賜されるが、これだけでは探索の資金としては心許ない。また、地図作成の進捗状況によっては、5年ごとの契約更改時に継続してもらえない可能性もある。そのため本業の貿易はおろそかにしてはならない。収益性の高い交易品を産出する都市の発見は、そのためにも重要。探検などで「宝物」を発見したときは、王様に献上すると褒美がもらえるので、これも重要な収入源となる。
マップの切り替え(「広域図」「拡大図」「詳細図」)やスクロール、都市をクリックしてメニューを表示させるといった操作は、すべてマウスで行える。直感的にプレイすることが可能で、非常にわかりやすい。
前作の主人公の子孫が内陸部を探検して、世界地図を完成させる「THE ATLAS II」
「THE ATLAS II」は、「THE ATLAS」の続編にあたる作品。前作で確定した海岸線や貿易航路などを、そのまま引き継いでプレイすることができるが、新しく「THE ATLAS II」からプレイすることも可能だ。
舞台は16世紀に移り変わり、前作の主人公の息子が新たな主人公となる。前作と異なるのは、単に指示を出すだけでなく、主人公自身も冒険の旅に出かけられるようになったこと。特に、世界に何ヵ所か存在する「オリンポスの神殿」の調査は、主人公自身が赴かなくてはならない。神殿にはそれぞれ謎があり、謎を解くことで「黄金板」を手に入れることができる。前作で「海岸線」は確定されているため、内陸部を探検して世界地図に書き加えることが、「THE ATLAS II」の目的となっている。
ゲームの軸が「貿易」と「探検」であることは前作と同じだが、「THE ATLAS II」では新たに「人材探索」という要素が追加された。「探検隊」の隊長となる「冒険家」や主人公にさまざまなアドバイスを与えてくれる「賢者」を、都市で探すことができる。ゲームが進むにつれて主人公が歳をとり、引退して世代交代してゆくのも「THE ATLAS II」の特徴。主人公は11世まで世代交代し、12世が引退した時点でゲームオーバーとなる。冒険者や賢者は6代目まで世代が交代する。
ゲームの目的は「貿易などで資金を貯めること」「黄金板を12枚揃えること」「父親が発見した宝物を手元に集め直すこと」「世界地図を80%以上完成させること」など、盛りだくさん。そのためには、前作の鍵でもあった「イヴラークの骨」を発見する必要もある。これらすべての目標をクリアしたときにはじめて、主人公の記録を残した「博物館」を建設できるようになる。
インタフェースは前作から大幅に変化し、ゲーム画面は主人公の使用する書斎のイメージになった。宝箱のようなデザインの「アイコンボックス」から必要なアイコンを取り出して机の上に置き、アイコンを使って内陸探検や商人との取引、探検船の操作などを行う。一方、マップ上の都市をクリックして、表示されたメニューから行う操作も残り、前作に比べて操作性はよくなったものの、操作体系が複雑になり、直感的ではなくなってしまった嫌いもある。マップのスクロールもマップそのもののドラッグではなく、画面右端に表示される「ムーブコンパス」を使用する方式に改良された(ショートカットキーによる操作も可能)。この点は前作に比べて操作性がアップしている。