「PageOne」は、青空文庫で公開されている作品を、本を読む感覚で閲覧できるテキストビューア。青空文庫の定める書式を解釈して、ルビや画像（挿し絵）などを加え、字下げ処理などを行って、一般書籍のような縦書き表示を実現する。メニューバーやステータスバーを自動的に隠して表示領域を広く取れるようにするなど、読みやすさにも配慮されている。

大きな特徴は、青空文庫の注記に幅広く対応していること。

• 各種傍点（傍点、丸傍点、白丸傍点、二重丸傍点、蛇の目傍点、黒三角傍点、白三角傍点）
• 各種傍線（傍線、二重傍線、波線、鎖線、破線）
• アンダーライン、取消線
• 太字、ゴシック体

文章を読みやすく表示するための設定項目も多数、用意されている。「縦中横」表示指定、不自然な向きのフォントの回転処理指定、不自然な文字位置の表示位置補正、ワードラップのON/OFFに加え、行頭禁則、二重行頭禁則、行末禁則の禁則処理にも対応する。

使い勝手のよさも特徴のひとつ。ページ送り/逆送りは左右のマウスクリックで行うことができ、マウスホイールで画像を含めた1行単位のページスクロールを行える。メイン画面下部には、しおりボタンやスライダーなどが配置されている。しおりは、同一作品に四つまで挟むことができ、一覧を表示させたり、目的のページにすばやくジャンプしたりできる。ショートカットキーから操作することも可能だ。

フォントの種類やサイズ、文字間/行間の比率、ルビや傍点などの色などは、ユーザの好みで自由に変更することが可能。行数と1行の文字数、余白の幅を指定することもできる。

マウスホイールを使って、1行単位でスクロールできる機能は意外に便利。本の場合は、1枚ごとにページをめくるが、ちょっと読み返したいときはページ単位でゆき来することになる。1行単位で読み進めてゆけば、そうした手間を省ける。

青空文庫を知らないユーザは、公開作品を見てみるとよい。文学作品のみならず、「技術・工学」「哲学」「産業」「歴史」「芸術・美術」「社会科学」といった分野から、多種多様な文書が公開されている。青空文庫のファンになったとき、「PageOne」は大いに力を発揮してくれるだろう。

• 広い全画面モード
• 行単位で行えるスクロール
• フォントサイズを優先した実用的、直感的な「ページデザイン」
• しおり、画面モード切り替え、外部プログラム呼び出しなどの「クイックボタン」
• 検索文字列を画面からの文字列選択で入力できる「選択ウィンドウ」

青空文庫ビューアを作ってみようと思い立ったとき、例外処理が多い文字列処理、文字描画、画像表示など、多くの要素を含んだ、かなり厄介なプログラミングになるだろうと考えていましたが、実際予想以上に手間ひまのかかるものでした。今後も少しずつ改良を加えてゆきたいと思っています。