「PictBear」は、使いやすさと軽快な動作、さらには高い機能をあわせ持つペイントソフト。複数のウィンドウで画像を編集できるMDI形式を採用し、子ウィンドウはタブで選択することができる。描画ツールを集めた描画ツールバーのほか、色やブラシを選択することが可能な「パレット」、ウィンドウの情報などが表示される「ビュー」、レイヤ操作用の「レイヤー」などのコントロールバーを使って、自由に画像を編集できる。アルファチャンネルにも対応。Undoは無制限に行える。

描画ツールは豊富だ。「ブラシ」「エアブラシ」「鉛筆」「効果ブラシ」「クローンブラシ」などのブラシを利用できるほか、図形描画も「直線」「曲線」「長方形」「楕円」「多角形」は塗りつぶしも含めて用意されている。「グラデーション」や「文字列」の挿入も可能。「ブラシ」や「エアブラシ」では、筆先の太さやぼかしを選択できる。ブラシの形状はあらかじめ用意されたもの以外に、専用追加ブラシをダウンロードすることで、ハート型や動物、植物など、さまざまな形状のものを追加することができる。ブラシの追加はドラッグ＆ドロップで簡単に行える。

フィルタ機能も充実している。「ぼかし」「シャープ」「エッジ検出」「特殊効果」「マスク」などの効果があり、それぞれ強弱や種類などを詳細に設定できる。ブラシ同様、フィルタの種類を追加することも可能。作者のホームページからダウンロードできる。明るさ、コントラスト、RGBの調整や、階調の反転なども可能だ。

スクリプトで自動処理を行えることも特徴のひとつ。あらかじめ「アプリケーションの制御」「イメージの操作」「イメージタイプの変換」といったスクリプトが登録されている（スクリプトの追加も自由に行える）。プログラミングすることにより、数式などを使った、手描きでは難しい描画も可能になる。

今回の「2.0」では、Windows Vistaへの対応、MDI化（タブ化）など、いくつかの新機能が搭載されているが、ベースは従来のものを踏襲している。もともとの完成度が高かったソフトでもあり、従来のベースを踏襲しているといっても、まったく古い感じはしない。プロユースとしてはともかく、趣味の領域で使うには十分すぎるほどの機能を持っている。

人気のタブブラウザ「Sleipnir」と同じ作者によるソフトだが、やはり設計思想などに共通のものを感じる。基本的な部分をしっかりと作り込み、スクリプトやプラグインでユーザ一人ひとりが自分に合った機能拡張をして、「自分のためのソフト」にできる。手軽に使えて、扱いやすい画像処理ソフトを探している人は、ぜひとも試していただきたい。

開発中に苦労した点
一番苦労したことは、開発する時間がなくなったことです。「Sleipnir」を開発し、落ち着いたところで「PictBear Second Edition」の開発に着手しました。そして、11月15日に「Nightly Build」をリリースし、もうすぐ正式版というところまで開発したところで、開発を中断することになりました。それ以降は、会社の運営と「Sleipnir」の開発にかかりきりになっていました。先日「PictBear」に脆弱性が見つかり、それがきっかけで、会社組織を使って「PictBear」の開発を再開することができました。すごくうれしかったです！

ユーザにお勧めする使い方
グリッド機能、フィルタ、透過GIF/透過PNG、レイヤなど、さまざまな機能を持っています。本格的な編集やちょっとした修正、ビューアとして使うこともできます。美しいアイコンをデスクトップに置いておくだけでも、気持ちがよいものです。何かに特化しているわけではなく、何でもそれなりにこなせるのが「PictBear」の特徴です。トータルバランスの高さを味わってください。

今後のバージョンアップ予定
いまのところバージョンアップの予定はありません。しかし、開発を継続したいフリーソフトのひとつだと思っています。