複数のアーティスティックな短編ムービーで構成された映像作品。500pixel平方のキャンバスに無限の宇宙が広がる。圧倒的なインパクト! 音と光で表現された映像の数々に引き込まれる
「I.R.P. =Imagination-Reality-Paradise=」はタイトルの通り、「Imagination(空想)」「Reality(現実)」「Paradise(楽園)」をテーマにした作品。作者・kanogutiさんは「ゲームではありません」と断言し、「『現実に楽園は存在するか』について考えるソフト」だとしている。「HSPプログラムコンテスト2008」で一般作品部門の優秀賞に輝いた。
「I.R.P.」には、刺激的なサウンドとアーティスティックなイメージで構成された短編映像が無数に詰まっている。ただ映像を眺めるだけでなく、キーボードを使用した操作も用意され、カーソルキーとスペースキー、【Enter】キーなどを使って画面上のキャラクタやオブジェクトなどを動かすことができる。さまざまな操作をすることで、映像も変化する。再生される映像の順番はランダムで、毎回同じ順番で見られるわけではない。
画面上に映し出される映像は多種多様。画面上をキャラクタが移動してゆくパズル風のものもあれば、何枚かの絵のようなものが繰り返し表示されるものや、目がチカチカしそうなモザイクアートなどもある。これらがテクノやロック、16bitゲームサウンドなどの音楽と相まって、絶妙なハーモニー(時には不協和音)を奏でる。
シュール、でもどこかダークな映像に戦慄……。人間の恐怖を刺激する作品群
収録されたムービーは、暴力的な表現を含んだダークなものであったり、七色の“色の洪水”で表現されたエキセントリックなものであったりとさまざまだが、どれも何かしらの「怖さ」を感じさせる。大勢のカップルがいる中でひとりだけ箱に閉じ込められた人物や、膨大な目(視線)に囲まれたキャラクタ、ただ羅列された「help」の文字、画面上のいたるところに散りばめられた「Why?」と「War」の文字……。メッセージ性の感じられるものばかりだ。