本格的な機能を備えた“地理情報分析支援システム”。既存の地理データを処理・加工したり、白地図から自分で地図を作成したりできる。「MANDARA」は、人口や地価、降水量などの位置情報を持つ数値データを、地理情報と関連付けし、地図上に表示できるGIS(Geographic Information System:地理情報システム)ソフト。付属のマップエディタを利用して、ベクトルデータから構成される地図データを制作・印刷できるほか、Excelなどで作成された地域の統計データを簡単に「地図化」して表現することができる。データの時間経過による変遷や、空間的な移動を表現することも可能だ。
基本的な操作の流れは、
- 地理の基本情報からなる「地図データ」と統計などの「属性データ」を用意する
- データを組み合わせた上で各種表示設定を行い、「主題図」(特定のテーマを持つ地図)を作成する
- ファイルまたは印刷で出力する
というもの。地図データは、内蔵されたものを利用できるほか、国土交通省が無料で公開しているデータや市販の地図データを読み込んで利用したり、ユーザが用意した白地図画像を取り込んで、ベクトルデータに変換して利用したりできる。地図データの作成や加工は、付属のマップエディタで行える。地図上のデータの基本単位となるのが「オブジェクト」と呼ばれる概念。オブジェクトは、位置情報や距離情報などを含む地図上の「要素」のことで、利用できるのは「点オブジェクト」「線オブジェクト」「面オブジェクト」の3種類。それぞれ、
- 点オブジェクト:特定の地点を指す広がりのないオブジェクト。駅や都道府県庁など
- 線オブジェクト:閉じていないラインでできたオブジェクト。鉄道など
- 面オブジェクト:境界となる閉じたラインでできたオブジェクト。市町村など
といった特徴がある。マップエディタでは、これらのオブジェクトを操作して、自由に地図を編集することが可能。例えば、施設の位置を移動したり、ライン上のポイントを動かして線の形状や面積を変えたりといった加工をマウス操作で行える。オブジェクトの名称の変更や表示/非表示の切り替えも可能。さらに、複数オブジェクトの集合である「集成オブジェクト」により、市/町/村に対する「県」、区に対する「政令指定都市」のように、オブジェクト同士の階層関係も表現できるようになっている。オブジェクトにさまざまな属性を付加して、テーマに沿ったデータ加工や表示設定を行うことも可能。例えば、地図上の「県」や「市町村」の領域(面オブジェクト)には、「空間(距離)」の属性があり、これを用いて県や市町村の面積を求めることができる。さらに、オブジェクトに「時間」の属性を持たせて、時間経過による地理情報の変遷を扱うことも可能。「学校や駅などの施設に有効期間(開始日/終了日)を設定して、施設の移転や名称変更がわかるようにする」といった使い方もできる。こうした地図の変化を表現するため、「MANDARA」には、複数の(例えば、同じ場所で時間の異なる)主題図を連続的に表示する「連続データ表示」モードが用意されている。
属性データの作成は、既存のExcelのデータに“MANDARAタグ”を追加して取り込むか、内蔵の作成ツールで一から入力することで行える。Excelデータは、CSV形式ファイルまたはクリップボード経由で取り込める。
地図データと属性データを統合し、主題図の表示方法を指定できるのが「設定」画面。設定により、主題図の上にデータを多彩な方法で表示させることができるようになる。例えば、地域によって異なる数量を「記号(図形)の大きさ」「色の濃さ」「斜線の塗り分け」で区分したり、標高などの同じ値をつなぐ「等値線」や変化する量を示す「棒グラフ」「折れ線グラフ」など、データの種類や地図の目的によって、さまざまな表示方法を指定したりできる。さらに、複数の種類のデータを1枚の地図上に重ね合わせられる「レイヤ」機能もある。
完成した地図データは、
- シェープファイル(一般的なGISソフトで利用できる地図形式)
- ラスタ画像ファイル(BMP/PNG)またはベクタ画像ファイル(EMF)
- Web形式(主題図のラスタ画像+HTMLファイル)
- KML形式(Google Earthで表示できる形式)
で出力することが可能。連続表示モードで描画した地図は、複数の画像ファイルと表示用のHTMLファイルの組み合わせとして出力される。そのほか、完成した主題図上に、新たに図形や点、線、文字を追加する「図形描画」機能なども備えている。