空中都市と地上、双方の覇権をかけた合理的戦争の幕が再び開く

「閃光機神ヴァルゼルト」は、主人公と二人のヒロインとの間に展開されるドラマと会話が楽しい、ストーリー重視のRPG。主人公の選択によってルートが4種類に分岐するマルチストーリーで展開される。

ゲームの舞台は、突然訪れた天変地異で人類が絶滅の危機に瀕したのち、300年が過ぎた遥かな未来。天変地異から逃れるため、人類は空中に浮かぶ巨大都市「アーク」を建設した。しかし、アークに移住することができたのは一部の人間のみ。他の大多数の人類は、地獄と化した地上に取り残された。それでも人類は生き延び、そしてようやく地上に復興の兆しが見えはじめたとき、勢力拡大を狙って一方的に地上を制圧しようとしたアークと、地上の人間との間で全面戦争が勃発する。

「ラスト・ブラッド」と呼ばれるこの戦いにより、ともに存亡の危機にまで追い込まれたアークと地上は以後、互いの戦力保有量を定め、民間人には一切不干渉という条件のもと、覇権を争う合理的戦争の協定を結ぶ。「ディスティニー」と呼ばれるこの戦いを3年ごとに行い、勝った陣営が向こう3年間、地上とアーク双方を支配する。これまでに3回のディスティニーが開催され、すべてアークの勝利に終わっている。そして再び時は巡り、4回目のディスティニーが開始された……。

個性的なキャラクタの織りなすドラマと会話がアツい

主人公は、初出撃の新人DAパイロット「コウヤ少尉」（デフォルトの名前。好きな名前に変えることができる）。そして、ラスト・ブラッド時代の遺産で、地上最強と目される青いDA「ヴァルゼルト」を操る「セレナ＝ラインハルト中尉」と、戦術特殊英才教育を受け、作戦の全指揮を受け持つ「岸原和葉少佐」の2名の若き女性を加えた地上軍3名のメンバーが物語の中心となる。

3名のほかにも個性的なキャラクタが多数登場する。「サイクロスカスタム」を操り、セレナに厳しく当たる地上軍の「グレイ＝結城中尉」、漆黒のDA「ステルバイパー」を操るアークの戦闘司令官「ヴァリオス＝シュナイダー大佐」、大佐に付き従う謎の女性（少女？）「飛鳥」などが、ストーリーを盛り上げる。

「DA」は、Destiny Armor（ディスティニー・アーマー）の略で、ラスト・ブラッド時代の戦術二足歩行型兵器をディスティニー向けに改修・整備した兵器のこと。ディスティニーでは、この巨大人型兵器を主力兵器として戦闘が行われる。しかし、空中戦闘を得意とするアークのDAに対し、もっぱら地上でしか戦えない地上軍のDAは戦闘において不利なことが多く、地上軍が負け続けている要因のひとつになっていた。

また、アーク陣営は「バイオクリーチャー」と呼ばれる、さまざまな生物の遺伝子を混合して作り上げた戦闘補助兵器を有し、これも大きなアドバンテージとなっている。バイオクリーチャーは、DAのように機体としてカウントされず、ミサイルや重火器のような武器の一種とみなされており、戦力の保有制限に抵触することなく投入することができる。ただし、バイオクリーチャーはDAから発せられる指令電波によって制御されており、その制御DAさえ倒してしまえば一瞬にしてすべてを戦闘不能状態にしてしまうことができる（倒すと弾薬や回復アイテムを落とすので、余力のあるときはなるべく倒した方がよい）。

会話の中に出現する選択肢をきちんと選んで、目的のルートに分岐しよう

戦闘はリアルタイムバトル形式で行われる。ミサイルランチャーやキャノン砲、ガトリング砲など、DAの携帯兵器を駆使して敵DAやバイオクリーチャーと戦うのが基本。注意しなくてはならないのは、兵器には対地・対空の2種類があり、空中の敵には対空、地上の敵には対地と、適切な兵器を使用しなければ有効な損傷を与えることができないこと。白兵戦などの通常攻撃はすべて対地攻撃になるので、空中の敵にはあまり効果がない。

巨大兵器による戦いだけでなく、DAを降りて行うミッションでは、人間サイズのバイオクリーチャーとの戦闘もある。出撃にあたっては人間用の武器や防具、回復アイテムなども揃えておく必要がある（人間用の装備もDA用の装備も白銀重工の本社で購入することができる）。

敵バイオクリーチャーやDAを倒すと、各種パーツや回復アイテムを手に入れることができる。また、マップ上に散在する箱を開けることで、さまざまなアイテムを入手することが可能だ。アイテムのうち、倒したDAのスクラップパーツを使用して、「白銀重工」の開発部で「性能改造」を受けることで、自分たちの乗るDAの「攻撃力」「装甲値」「索敵能力」「反応速度」をアップさせることが可能。適切なアイテムとマニュアルのセットを使って、やはり白銀重工の開発部で主人公専用の携帯兵器を新開発してもらうこともできる。

DA同士の戦闘においてはレベル上げがなく、強敵相手でも武器の選択や回復のタイミングなどを工夫することで、なんとかクリアできる点も気に入った。ボス的なキャラ相手では最初何回かゲームオーバーになった挙げ句になんとか倒すことができるという感じで、ゲームバランスもなかなかだ（この手のゲームの基本ではあるが、こまめなセーブを忘れないことが重要）。

DAを使っての戦闘とは別に、パイロットを使っての生身の戦闘が用意されているのも、目先が変わってゲームが単調になることを防ぐ効果がある。各話ごとのストーリー展開やミッションもバラエティに富んでいる。ボリューム感は十分で、充実したおもしろいRPGといってよい。

ロボットものが好きだから作った──簡単に言ってしまえばそれだけです。ただ、本作を制作しようと思った当時（いまから約6年前）、明確にロボットという存在を前面に押し出したフリーのRPGがあまり存在していなかったと感じていました。存在自体はあったとしても、私の望むアニメテイストの作品は皆無に等しかったと記憶しております。ですから「ないならば自分で作ってしまえ！」──そんなノリでした。

もうひとつの理由として、自分の力を試してみたかったということが挙げられます。私の目標はシナリオライターであり、みなさまに楽しんでもらえる作品が作れるかどうかと思い、本作のシナリオ執筆をはじめました。こうやって今回のような機会に巡り合えたのも、少なからずみなさまに楽しんでいただけたという結果なのでしょうか？　そうであれば、この上ない幸せですし、まだまだ目標のスタートラインにさえ立てていない私ですが、さらに高みを目指す原動力となります。

開発中に苦労した点
いままではコンシューマ機でのRPGツクールで中途半端にしか制作をしたことしかなく、また私を含め、当時のスタッフ陣はゲーム制作についてはズブの素人でした。ドットの打ち方から、素材企画云々……まで、すべてが苦労の塊です。また当時、全員が受験生でしたから、各員のスケジュールと各種制作素材などの締め切りの調整が大変でした。

そんなこんなだった本作が完成した日は、みんなで大騒ぎしたことをいまでもよく覚えています。

ユーザにお勧めする使い方
DA（本作ロボットの呼称）に魅力を感じてもらうのもよし。キャラクタに愛を感じてもらうのもよし。ストーリーについて深く考えていただくのもよし。つまり、本作をお手にとっていただいたみなさまが愛を持って接していただけることこそが、何よりの幸せであり、お勧めの使い方です。

今後のバージョンアップ予定
大幅な変更は今回限りで終了したいと思っております。ですが、バグ修正等は適宜行ってゆく予定です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

実は、本作は単体としては完結していますが……その先の構想はあるのです。いつの日か「閃光機神ヴァルゼルトII（仮称）」ができることを願っている所存です。