「R13」は、静止画像の拡大と縮小に特化した画像加工ソフト。（1）ファイルを開いて、（2）出力するサイズを指定し、（3）リサンプルのアルゴリズムを指定する、という3ステップでリサイズを実行することができる。ファイルの保存は任意に行う。利用できるリサンプルアルゴリズムは、Lanczos4/3/2、Mitchell、Lagrange、Hermite、Bell、B-Spline、Gauss、Bicubic（双3次補間）、平均画素法、Bilinear（線形補間）、Nearest Neighbor（最近傍法）の計13種類。

画像の出力サイズは、縦横のピクセル数か拡大率をテキストボックスに直接入力する。入力後、「リサンプル」メニューからアルゴリズムを選ぶと、直ちに処理が実行される仕組み。「取り消し」機能は用意されていないが、「リロード」してオリジナルの画像を再読み込みすることができる。

指定したアルゴリズムでリサイズできるだけでなく、すべてのアルゴリズムを使って一括リサイズすることも可能。リサイズした画像は、アルゴリズム名をもとにそれぞれ個別の名前で保存される。同時に生成されるHTMLファイルを開くことで、Webギャラリーの形で閲覧できるようになっている。ギャラリーのレイアウトは1列から5列の間で選べる。それぞれの画像には使用したアルゴリズム名が自動的に見出しとして添えられる。

補間アルゴリズムが充実しているからといって特別難しいソフトというわけではなく、むしろ画像サイズの指定以外は何もすることがないのだが、これだけたくさんのアルゴリズムがあると、処理結果を子細に分析して、最適なものを選ぶ目が必要だ。そういう意味ではやはり上級者向けといってもよいだろう。

1枚の画像を一気にすべてのアルゴリズムでリサイズしてくれる「リサンプル一覧の作成」機能は、アルゴリズムによる画質の違いや処理の特徴をチェックするにはぴったりで、画像処理を学習している人には役立ちそうだ。

実用ソフトとして見た場合は、任意の出力サイズを登録しておけるプリセット機能や縦横比を維持するためのオプションがあると、より使いやすくなるのではないだろうか。

国内では「バイキュービック」と「バイリニア」の二つが有名ですが、それ以外にもリサンプリングアルゴリズムは数多く存在します。「Lanczos3」は高品質に縮小できると評判のアルゴリズムです。もし「Lanczos3」という言葉をはじめて目にするのであれば、この機会に触れてもらえたらと思っています。

開発中に苦労した点
「Lanczos3」をはじめて実装したとき、その処理の遅さに呆然としたのを覚えています（1024×768から400×400への縮小に6秒以上）。アルゴリズム数の拡充より、高速化に多くの時間を費やしました。

今後のバージョンアップ予定
リサンプリング用に新たなアルゴリズムを追加する予定はありません。ただ、リサンプリングと組み合わせて使うことができるノイズ除去処理を充実させる予定です。これは、一見きれいに見えるJPEG画像であっても、拡大するとJPEG特有のノイズが顕著になるからです。

また、「R13」は画像品質にこだわりをもたれている方を対象としたソフトです。今後は、画像品質繋がりで「JPEG専用のブロックノイズ除去」や「不鮮明画像の高画質化」といったソフトを開発していけたらと思っています。

最後に
「Lanczos3」を実装する際に以下のホームページを参考にさせていただきました。Wikipediaと“Lanczos resampling”を寄稿された方に感謝いたします。

http://en.wikipedia.org/wiki/Lanczos_resampling
（Lanczos3のサンプルコードを入手できます）