任意の星に好みの速さで飛行できる“恒星間航行3Dシミュレータ”。ヒッパルコス星表にある117,954個の星からの眺めを疑似体験できる。「HippLiner」は、太陽系近傍の恒星・銀河空間を、超光速・相対論的に自由に動き回ることができる天体シミュレーションソフト。目的の恒星と移動速度を指定し、視点を徐々に動かしながら移動することが可能で、星空を旅するような感覚を楽しめる。
使用される天体データは、1989年に打ち上げられた欧州宇宙機関の天体観測衛星「ヒッパルコス」の成果である「ヒッパルコス星表」のうち、赤経・赤緯・等級がわかっている117,954個。これらすべての空間位置情報を3Dで表示できる。さらに、散開星団のカタログから得られる601個の散開星団や、銀河のカタログから得られる2,365個の銀河データも内蔵。太陽系近傍から銀河系外にも及ぶ星や銀河の分布を見ることができる。
空間移動は、目的の恒星を指定することで行える。恒星の指定方法はさまざま。星情報のプルダウンリストから目的の星名を選んだり、画面に表示された星空から行きたい星をダブルクリックしたりして指定できる。選択後は、いきなりその星にジャンプするのではなく、「秒速1光年」といった速度を指定して移動する。
このとき、相対論を考慮した移動を行うことも可能。「光速に近い速度で飛行する宇宙船から見える景色は、光行差やドップラー効果により、通常見ている星空とは異なるものになる」という考え方にもとづいている。もちろん、私たちが見慣れた星図上を移動する“古典的移動”も楽しめる。
視界は上下左右、自由に動かすことができる。好きな星から見たシミュレーション画像は、名前を付けて保存・印刷しておける。さらに、星の画像をカスタマイズすることも可能。単純な恒星の位置、色、大きさの表示はもちろん、恒星名、銀河や散開星団とその名称の表示、星座線および星座名の表示などもユーザが選択・設定できるようになっている。恒星の明るさは「見かけの等級」「絶対等級」「太陽からの等級」に切り替えることが可能だ。
ヒッパルコス星表に視線速度のデータが記載されている15,672個の恒星では、恒星自身の3次元運動もシミュレートできる。一般的な星空シミュレーションソフトでは、数万年後の星空を再現するような機能があっても、歳差運動を再現するにすぎないものが多いが、「HippLiner」では固有運動も考慮した「位置変化」をシミュレートすることが可能だ。
星座の独自定義機能もある。既存の星座線に加え、好きな星を結んで星座線を引けば、オリジナルの星座ができあがる。操作は、ツールパレット風に表示される星情報と星座線ウィンドウで行う。メイン画面下部には、よく使う機能がまとめられた「ライブショーパネル」が配置され、簡単な操作であれば、「ライブショーパネル」やコンテキスト(右クリック)メニューから行える。