「アウフタクト2」は、拍子音とボールの動きによってテンポを把握できるメトロノームソフト。耳だけでなく目からもリズムをつかむことができる。単純な拍子に加え、変拍子や分割振りを指定することも可能。音合わせ用のチューニング音を鳴らす機能も備えている。

一般的なメトロノームと大きく異なるのは、設定したビート/テンポに合わせてボール風のマークが指揮棒のように動くこと。ボールは自由落下の法則にもとづいて動くようになっており、強拍であればボールが大きく（高く）跳ね上がり、弱拍では弱い跳ね上がりとなる。この動きが、あたかも指揮者がタクトを振っているかのような軌道になるという。

画面に表示される情報は、メトロノームに必要なものがしっかり押さえられており、きめ細やかな配慮がなされている。1拍目の直前の拍だけウィンドウの背景色を変えて強調したり、三連符のタイミングを把握しやすくする三連符ガイドラインを表示したりできる。拍点を数字や「●」で表示することも可能だ。拍子音を止めることで、メトロノーム音を使わずにボールの動きだけでテンポを把握することもできる。

テンポとビートの設定は自由に組み合わせられる。テンポは1分あたり1〜400拍の間で指定できる。ビートは単純な拍子のほか、分割拍子や変拍子の設定が可能。空白を挟むことで、拍の強さをある程度調整することもできる。例えば、単純な4拍子で3拍目を中強拍にしたい場合は「Beat」欄に“11 11”と記入すればよい。“23”であれば、4分の5拍子の変拍子として扱われる。オプションとして、各拍点の間隔をずらす「ゆらぎ」モードも用意されている。

メトロノームの開始/停止は、「START」「STOP」ボタンをクリックする方法のほか、キーボードの【Enter】やスペースキーも利用できる。一時的に動きを止めればフェルマータの代わりとして使える。停止状態から、特定の拍点を指定して再開することも可能だ。

プリセットメニューからは、あらかじめ設定したリズムを呼び出すことができる。実行中のメトロノームの設定（テンポやビートなど）を、プリセットとして追加することも可能で、メモを記入したり、発音やガイドライン表示のON/OFFを指定したりできる。メニューはシンプルなテキストファイル（MENU.TXT）なので、エディタなどで直接内容を編集することも可能だ。

「アウフタクト2」は、一定のリズムをパソコンのアニメーションで実現するメトロノームソフト。マークの動きは、まるで指揮棒の動きのよう。速いテンポで分割拍子を設定するとマークが小刻みに上下したり、ゆっくりめのテンポにするとウィンドウの中でマークが弧を描くように拍点を移動したりと、眺めているだけでもおもしろい。マークの動きは自然落下の法則にもとづいてアニメーションするので不自然さがなく、跳ねるゴムボールを目で追っているような感じだ。

電子楽器を使って、ヘッドフォン端子以外には音を外に出さないような環境で演奏を楽しむ人にはうってつけのソフトだ。複数で楽器の練習をするようなときに指揮者や打楽器パートの「リズムを取る人」が不在ならば、「アウフタクト2」を少し大きめのモニタで動かして、みんなで見ても役に立つだろう。

「アウフタクト2」では、拍（Beat）の指定方法を工夫し、変拍子や分割振りにも柔軟に対応した点に大きな特徴があります。また、前述の「指揮の技法」を参考にフェルマータ機能を付けました。さらに、藤原義章著「リズムはゆらぐ」をもとに拍点をずらすモードも加えました。

このように、私自身はクラシック音楽の楽器の練習あるいは理論の確認用にと思って開発していますが、フラメンコ、聴覚障害者のリズム運動、英語の発音練習、さらには心理療法、キーボード練習といった分野でもこの「アウフタクト2」の使用例があるようです。

現在はタッピング入力でテンポを指定したり、さらに使いやすくする改善を行っています。今後ともどうぞ宜しくお願いします。