「ソフトテルミン」は、電子楽器「テルミン」の雰囲気をパソコンで楽しめる演奏ソフト。テルミンとは、独特な音色と演奏法で有名な世界最古の電子楽器のこと。垂直と水平の2本のアンテナがあり、垂直アンテナにかざした方の手で音程を、水平アンテナにかざした方の手で音量を調整する。「ソフトテルミン」では、このアンテナにかざす両手をマウス操作ひとつで代用する。

操作は非常にシンプルで、マウスポインタの左右移動で音程が、上下移動で音量が変化する。つまり、左右移動が垂直アンテナを、上下移動が水平アンテナを代用するわけだ。カーソルを右に移動するほど音程が高くなり、上に移動するほど音量が増す。

鍵盤など、音の高さを定める基準となるものが存在しないため、演奏者の耳や経験などが頼りなのは本物のテルミンと同様。ただ、「ソフトテルミン」では背景の画像（BMP形式）を変えることができる。同梱のサンプル画像には、周波数や鍵盤を表示するものもあり、それらを利用すれば演奏の目安となる。

ウィンドウのサイズは自由に変更できる。サイズ変更に合わせて背景の画像も拡大/縮小する。横方向だけを延ばして音程を取りやすくしたり、縦方向を縮めて音量の変化を付けやすくしたりすることもできる。

音の波形を変えることもできる。一般的な正弦波のほか、全部で5種類のサンプル波形が用意されている。ユーザ自身が作成した音のデータ（WAV形式）を利用することも可能だ。

演奏中にプチプチとノイズが入るのは少し残念だが、テルミンの特徴のひとつでもあるビブラートを効かせた演奏もしっかりとできる。プチプチ音も、ちょっとクラシカルな雰囲気が出るので、むしろプラスに評価してもよいのかもしれない。少なくとも「ソフトテルミン」での演奏には、それなりにマッチしているように筆者には感じられた。

奏者自身の耳が頼りで、曲をきちんと弾きこなすのが難しいのは実際のテルミンと同様だが、「ソフトテルミン」では背景の画像を選ぶことで大体の目安を得ることができる。とりあえず簡単な楽譜を追う程度であれば、ちょっと練習すればなんとかなりそうだ。

ただデタラメにマウスを動かすだけでも、それなりの雰囲気を味わうことができておもしろいが、いっそのこと、まともな曲の演奏にもチャレンジしてみたいところである。

開発中に苦労した点
なぜかカーソルがちゃんと（カラーで）表示できず、解決するまで3年くらいかかりました……。音とまったく関係ないですが、どうしても手の形のカーソルで操作したかったので。

ユーザにお勧めする使い方
音を出すしか能がないソフトなので、存分に音を出してください。Windows Media Playerなどで、曲を流しながら演奏するのもオツ。凝りたい人は波形を変えてみましょう。

今後のバージョンアップ予定
バグ取り以外にあまり思いつかないので、使ってみて「こんな機能があれば」と思った方はメールをください。対応するかは別として。