絵本から出てきた火の精霊を元の世界に還すため、森に住む少女が冒険を繰り広げるファンタジーRPG。「雪色絵本」は、妖精や精霊が住む世界が舞台のファンタジーRPG。主役は、森にひとりで住んでいる少女「ウィル」。ウィルは、物心ついたときから自給自足で暮らしてきた。楽しみは、森の中にある「遺跡」でさまざまな本を読むことだ。
ある日、ウィルは遺跡の中で、いままで見たことのない不思議な絵本を見つける。絵本を開くと突然、封印されていた火の精霊「フライヤ」が登場。封印を解いた際、ウィルはフライヤに取りつかれてしまう。精霊に取りつかれたことで、普通の人間には見えないはずの精霊が、ウィルには見えるようになる。聞けばフライヤは、どうやら記憶を失っている様子。そこでウィルは、フライヤを故郷に還すため、いままで一度も離れたことのない森を出ようと決意する。
魅力は、何といってもキャラの設定と、謎の多いシナリオ展開。森でひとりで育ったウィルの境遇、記憶を失ったフライヤの過去、道中で参加する不思議な精霊「カイ」の正体……。ストーリーを進めるにつれ、主人公ウィルの周りにさまざまな謎が提示されていく。
「親が存在せず、ひとりで生きるためにひたすら戦う」「過去の記憶を失う」など、登場人物の境遇は過酷。しかし世間知らずのマイペースな主人公や、ご都合主義でツッコミ役のフライヤなど、キャラの性格付けは非常に“明るい”。ストーリーはコミカルな雰囲気で、楽しみながらプレイできる。
ストーリーをさらに盛り上げてくれるのが、作者自身が描く美麗なグラフィック。多くの立ち絵と一枚絵が用意されている。会話画面の立ち絵は、会話の内容に合わせて各キャラの表情がコロコロと変化。重要なイベントでは、頻繁に美しい一枚絵が表示される。また、戦闘時の掛け声にボイスが用意され、感情移入がしやすい。
エンカウント方式は、一部イベントを除きシンボル型で、フィールドの敵に接触すると戦闘がはじまる。戦闘システムは、キャラごとに用意された「タイムゲージ」が満タンになると1回行動できる「リアルタイムアクティブバトル」を採用。
タイムゲージのたまり方は、「素早さ」のステータスによって変化する。「素早さ」が高ければ、敵が一度行動する間に複数行動ターンが回ってくることもある。タイムゲージは、味方の行動選択中もどんどんたまるので、じっくりと行動を考えていると敵の行動を許してしまうこともある。コマンド式ながら、スピード感のある展開を楽しめる。
味方ターンの攻撃では、装備武器で戦う「攻撃」か、MPを消費して発動する「技・魔法」を使うことができる。そのほか、「防御」や道具を使用する「アイテム」といったコマンドもある。「魔法」は使用方法が少し特殊で、強力な魔法ほど長い詠唱時間が必要となり、発動までに時間が掛かる。魔法を詠唱している間に敵から攻撃を受けることもあるので、注意が必要だ。
非戦闘時のメニューでは、各キャラの「ポジション」を変更できる。ポジションを「前衛」にしたキャラは攻撃力がアップするものの、敵に狙われやすい。逆に「後衛」のキャラは敵からは狙われにくいが、攻撃力や命中度は下がってしまう。詠唱の必要があるキャラを狙われにくい後衛に配置し、体力の高いキャラを囮として前衛に配置する、といった戦略を取ることもできる。