「救世主猫」と「殺人猫」が力を合わせて戦う、猫が主役の異色のRPG。要所で挿入されるフルボイスのアニメーションイベントは必見。「Savior Cat」は、人型に進化した猫が活躍するファンタジーRPG。魔法のような術を身につける猫もおり、特殊能力を得た猫は、能力が高いほど長い生命力を手に入れられる。強い術が使える猫ならば、何と1,000年以上の時を生きることができるという。
主人公「ゼット」は、かつて世界を破滅に追いやった“殺人猫”エックスを倒した“救世主猫”。強力な特殊能力を持つゼットは、世界を救ってから1,000年経った現在も生き続け、のんびりと日々を過ごしていた。ところがある日、ゼットが討ち取ったはずのエックスが、復讐と称してゼットの前に現れる。
ちょうどその頃、未来予知能力を持つ“巫女猫”ティは、「世界を滅ぼす新しい殺人猫」が世界に誕生することを予知する。世界滅亡を防ぐためには、ゼットとエックスの力が必要だと気づき、行動を開始する……。
ゲームシステムは、RPGとしてオーソドックスなもの。プレイヤーは町などで情報を集め、世界滅亡を阻止する鍵になると予言された少年「アール」を探すことになる。戦闘システムは一般的なアクティブタイムバトル方式。タイムゲージが満タンになったキャラから順に行動できる。レベルアップとともに使用可能な魔法やスキルなどが増える。
大きな魅力が、独特の世界観にもとづく奥の深いストーリーと、魅力溢れるキャラたち。例えば、普通の猫は人型に進化しているが、一部の猫は進化に追いつけず、尻尾を持つ。尻尾がある猫は「なりそこない」と呼ばれ、差別されている。雑種の猫や黒猫も迫害の対象となっている。こうした「迫害を受ける猫側」の事情も絡み、シリアスなストーリーが展開される。反面、ノンビリとした性格のゼットと仲間たちとのやりとりは軽快でコミカルなものが多く、楽しくプレイできる。
キャラを活き活きと見せる上で効果的な役割を果たしているのが、美麗なグラフィックとボイスだ。各キャラの表情がセリフに合わせてくるくると変化する。重要な場面では声優によるフルボイスのイベントが挿入され、ストーリーを盛り上げる。イベント時には、画面がダイナミックにアニメーションするなど迫力のある演出も用意されている。
エンディングは大きく分けて2種類。プレイヤーの行動で変化する。エンディング後も、レベルや装備を維持したまま、世界を歩き回れるようになっている。一度エンディングを見ると、主人公の自宅に「アルバム」が追加される。「アルバム」では、いままで見たことのあるイベントを自由に再生できる。
エンディング後にプレイできるサブイベントは豊富。ワールドマップ上には、本編シナリオに関わっていない町や場所が複数あり、訪れることで各種サブイベントを楽しめる。例えば、教会では「発信機をつけた神父を探す」という依頼がなされる。依頼の内容は、受信機の情報を頼りに世界中を移動しながら逃げ回る神父を見つけ出すというもの。ほかにも、魔物退治や特殊なアイテムの調達など、さまざまなクエストが用意されている。
サブイベントには「ゲーム内での行動」「見たエンディング」「ゲーム内の時間」といった条件で発生するものもある。イベントによっては便利なアイテムが手に入ったり、特殊なイベントを見られたりする。また、特定の条件をクリアすると、本編後が舞台の「裏シナリオ」をプレイできるようになる。