「Stellar Wind Mail Filter」は、メールサーバとメーラとの間に入って動作するプロキシサーバ型のメールフィルタ。メーラの種類を問わずに利用できる。メールの受信は、メールサーバから直接行われるのではなく、「Stellar Wind Mail Filter」を介して行う。マルチアカウントに対応する。

スパムメールの判定は、インターネットで公開されているRBL（Realtime Black List）を使用して行う。送信されてくるスパムメールのさまざまなパターンを、ユーザが定義する必要はない。RBL以外には、ユーザが「フレンドリスト」「バッドリスト」を定義することが可能で、これらを使って受信メールを分類・処理できるようになっている。

受信メールは、「Stellar Wind Mail Filter」のメイン画面に一覧表示される。「スパムメール」や、フレンド/バッドリストによる「フレンドメール」「バッドメール」には固有のアイコンが表示され、ひと目で区別できる。メイン画面からメールの内容（本文）を閲覧することも可能だ。

受信時の処理方法は、

• 通常のメールとして扱う「通知」
• メールをごみ箱に入れる「削除」
• 削除はしないものの、メールを“ないもの”として扱う「隠す」

「Stellar Wind Mail Filter」のメールサーバへのアクセスタイミングは、手動によるアクセス/受信のほか、一定時間ごとにアクセスする「自動受信」を選択できる。新着メールがあった際に通知させることも可能で、メールチェッカとして利用することも可能だ。

スパム処理で何が大変かといえば、まずスパムの定義なのだが、「Stellar Wind Mail Filter」ではRBLを使用することで、ユーザがわざわざ定義する必要がないようになっている。とはいえ、RBLの定義が絶対かといえばそんなこともなく、ごく普通の有用なメールマガジンがスパム認定されてしまうこともないわけではない。

そんなとき「Stellar Wind Mail Filter」ではそのメールを「フレンドメール」に指定することで事実上、スパム判定を取り消すことも可能になるのだが、それもプロキシとしてすべてのメールをいったんプールするからこそ、そうした柔軟な対応ができるというわけだ。

と同時に、使いやすいのも特徴だ。フレンドメール、バッドメールの登録も、受信メールのコンテキスト（右クリック）メニューから簡単にできるので、ユーザ定義ルールの作成も手間がかからない。メールビューア、メールチェッカとして使うこともできるなど、いろいろな意味で融通の利くソフトである。スパムメールに頭を悩ませている人は、ぜひ一度試してみるといいだろう。

なおVer.1.3.2では、サーバ上のメール削除のタイミングを変更する機能があるが、「サーバからメールを取り込んだら削除する」（初期設定）以外のタイミングでの削除の指定をしても、サーバからメールが削除されない。この不具合を修正したバージョンは、近日中に公開される予定とのこと。

使用法のヒント
このソフトだけでメールチェッカ機能もメールビューア機能も備えていますが、お好きなメールチェッカと併用するのもいいと思います。つまり、そのメールチェッカで「Stellar Wind Mail Filter」のメールボックスをチェックするように設定します。そうすれば、そのメールチェッカに強力なスパムメールのフィルタリング機能が追加されたかのように利用できます。

また、柔軟なマルチアカウント機能を応用すれば、このソフトを1台ののパソコンで実行しておいて、複数のパソコンからそれぞれ別のメールボックスのメールを受信するような利用法も考えられます。そうすれば、ユーザからスパムメールを完全に隠蔽できるので、ユーザに（例えば子どもに）不愉快なメールを一切目にさせないようにすることもできます。

開発方針
基本的な開発方針は「早めの公開」です。バグフィックスや機能追加をした際には、早めに公開していくということです。個人での開発では、早めに公開して、ユーザからの意見をどんどん取り入れていく方が、結果的には、より早く、より良い品質のものが作れると考えているからです。「慎重になりすぎず、いい加減になりすぎず」といったところです。

すでに、お寄せいただいた要望やバグレポートに基づいて、追加された機能や修正されたバグがいくつかあります。一方、つまらないバグを残したまま公開してしまったという反省点もあり、今後気をつけていきたいと思います。

今後の開発予定
公開から間もないこのソフトは、まだまだ荒削りなところが多々あると思います。ユーザインタフェースは、より使いやすいものに改良する必要があると考えています。機能的には、メールチェッカ機能をもう少し充実させようと思っています。ただし、シンプルで必要十分なプログラムを目指すのが基本姿勢です。

また、「使用法のヒント」で紹介したようなマルチユーザでの使用を考慮したセキュリティ機能や、そのような利用を支援するためのユーティリティの開発も検討しています（ただし、具体的なことはまだ未定です）。