「CUBE!」の主人公は、小さな島にある学園の魔法科に通う少女「アルト」。ある日、学園から長期休暇に入る学生たちに、「クリスタルキューブを探し出す」という課題が与えられる。アルトは課題をこなすため、友人たちとクリスタルキューブを探すことになるが、さまざまな思惑を持つ者たちの妨害を受けることになる……というストーリー。

「キューブ」とは、少量の魔力を蓄えられる小さな石のこと。魔法を習得した人間は、キューブを媒体にして魔法を使うことができる。通常のキューブは、火系の魔法が使える「レッドキューブ」や雷系の「イエローキューブ」といったように属性を持つが、課題に出されたクリスタルキューブだけは属性を持たない代わりに、「空間に干渉できる」という特殊な能力がある。

ゲームの特徴は、魅力的なキャラクタと謎の多いストーリー。とある理由で母親を亡くしたものの、素直で明るく優しいアルト、義理の姉で頼れる存在だが、なぜかメイド服で家事を取り仕切るネコミミ少女「ミント」、無口だが意外と皮肉屋な面を持つ友人「マリネ」、マリネの妹で暴走＆単細胞気味の「トルテ」など、いずれも個性豊か。アルトをライバル視するお嬢様の「エリザ」など、お約束のキャラクタも登場する。

ストーリーの山場に表示される美麗なグラフィックも、プレイヤーを物語に引き込んでくれる。通常の一枚絵のほか、絶妙なタイミングで表示されるカットイン、複数のグラフィックでアニメーションしているように見える演出などを駆使して、ストーリーを盛り上げてくれる。

アルトはクリスタルキューブ探索のために、毎日異なるダンジョンを冒険する。全体マップ上には四角い「街」と丸い「ダンジョン」が表示され、行きたい場所をポインタで選択する。ただし、最初は限られた場所しか表示されておらず、「使い魔」を使って隠れた街やダンジョンを見つける必要がある。

全体マップ上でキャンセルキーを押すと、探索モードに入る。任意の場所に使い魔を移動させて決定キーを押すと、近くに街やダンジョンがあった場合は画面が光って出現する。探索には「ファミリアポイント」が必要で、見つからなくても決定キーを押すごとにポイントが消費される。ストーリーの進行に欠かせない場所は、探索モードに入っただけで自動的に出現するので、手動探索は不要だが、重要なアイテムが手に入る場所もあるので、できるだけ探索しておきたい。

独自の戦闘システムも特徴のひとつ。敵味方ともに「ACゲージ」がなくなった者から行動を起こせる。味方キャラクタには「スタミナランプ」があり、三つ点灯するとキャラクタ別の方向キーを押すことでACゲージを瞬時にゼロにできる。行動可能になったキャラクタは右上にアイコンが表示される。

攻撃は通常攻撃、魔法攻撃、技攻撃の3種類。魔法攻撃で消費するMPはパーティ全体で共有するため、残量や配分には要注意。基本的には通常攻撃などで少しずつMPを回復させてゆく（ダンジョン内などの全快ポイントでも回復しない）。技には、レベルアップで覚える通常技と、「奥義書」を装備することで使える「大技」がある。大技は「APゲージ」が満タンのときに使用できる。

複数の味方キャラクタのアイコンが同時に表示された場合、「連携攻撃」を行える。同時に攻撃して、敵に大ダメージを与えることが可能だ。「連携攻撃」には「物理連携」と「魔法連携」があり、二人の場合は単体攻撃、三人の場合は全体攻撃が可能となる。連携するキャラクタによって攻撃技が異なり、技ごとに用意された派手なグラフィックが表示される。

シミュレーション要素を含む「クリエイトシステム」もお楽しみのひとつ。これは「素材」を組み合わせることで新しいアイテムを作り出すもので、装備品を作成できる「細工」と、アイテムの作成ができる「料理」の2種類がある。ただし、どちらも特定のキャラクタを仲間にしているときだけ実行できるようになっている。ストーリーの進行上、クリエイトできないことも少なくないので、チャンスは逃さないようにしたい。

非常に多くの特徴を備えたシステムだけに、予備知識なしでプレイすると、基本的な操作だけでも迷ってしまう可能性が高い。起動メニューで選択できる説明書に目を通してから開始することをお勧めする。動作に関する設定メニューも用意されており、いったん慣れてしまえば快適に進めていくことができるはずだ。

一度のプレイでは見つけられなかったダンジョンを探索したり、特定の条件下で敵を倒すことなどで手に入る「コレクションカード」が用意されていたりと、豊富なやり込み要素を備えている「CUBE!」は、エンディングを迎えたあとも、繰り返し楽しめる作品だ。

開発中に苦労した点
物語と同時に戦闘にもこだわっています。今回は斜め見下ろし型の戦闘を採用しましたので、そのためのグラフィックやパーツの配置など、なかなか思ったようにいきませんでした。その分制作に使用しているツールの面影はなくなっていますので、これでよかったと思っています。あとは使用している素材でしょうか。音関係以外はすべて自分で制作しますから、それはさすがに手間でした。

ユーザにお勧めする遊び方
物語に自由度が少ない分、それ以外のところの自由度を上げていますので、いろいろと楽しんでいただきたいと思います。隠しダンジョンやコレクションカードなど、やりこみ要素も満載です。

今後のバージョンアップ予定
大がかりなバージョンアップの予定はありませんが、バグなどがあれば、できるだけ早く対応したいと思います。