精神病棟を舞台にした“ダーク系”のRPG。謎が多く、陰鬱としながらも引き込まれてしまうストーリーが特徴。複数の行動を組み合わせるオリジナルの戦闘システムは、頭をフル回転させる必要があり、手応え十分。「分裂ガール」の物語は、主人公の少女が薄暗く、汚い地下室で目を覚ますところからはじまる。自分がいる場所はもちろん、自分の名前や過去の記憶なども一切覚えていなかった彼女は、部屋の名札や残っていた報告書から、自分の名前が「エルテ・ティート」で、重度の分裂症だということと、この場所が精神病棟だということを知る。
エルテは「空を見たい」という小さな願いのため、地下10階から地上への脱出を試みる。失ってしまった記憶の真実や、突然病棟から消えた看護官たちの謎、「エルテ・ティートのすべてを知っている」という謎の女性など、プレイヤーはゲームの進行とともに、さまざまな謎に直面することになる。
病院内には、仕掛けを解除しないと通れなかったり、行き止まりのように見えたりする場所などが数多く用意され、頭を使わないと先に進めない。また、取得したアイテムを物々交換したり、アイテムの強化を行えたりする便利な場所が用意されている階もある。
最初のうちは、エルテだけで探索を行うが、特定の場所に行くことで、エルテを含めて最大4人まで仲間を増やすことができる。一人は必ず仲間にする必要がある。それ以外の二人は、病院内で出会うキャラクタの中から自由に選択できる。ただし、一度仲間にしたキャラクタは外すことができないので、仲間の選択は慎重に行う必要がある。
やや重いテーマと並ぶ「分裂ガール」の特徴が、独自システムを採用した戦闘だ。基本的には敏捷性の高いキャラクタから行動するターン制だが、1ターンに複数の行動を組み合わせることができる。各キャラクタの行動回数は「行動回数限界(NOT)」と「スタミナ(STM)」というステータスで決まる。行動回数の上限はNOTの値だが、行動するたびにSTMが減少し、0になると行動不能になってしまう。大きな技ほどSTMの消費量が多いので、消費量の少ない行動を多用するか、大技で一気に決めるかなど、プレイヤーごとの戦略を立てられるのがおもしろい。
攻撃方法は、通常攻撃の「Attack」、装備アイテムを使う「Skill」、キャラクタごとの特殊能力「UnioqueSkill」の3種類。なかでも大きな力を発揮するのが、エルテのUnioqueSkill「分裂」。これは、自分をレッド/ブルー/グリーン/イエロー/ピンクという5色の分身に「分裂」させるもの。分裂させた状態では、各色に応じた必殺技を発動することができる。さらに、複数の色を分裂させると、敵全体への攻撃など、色の組み合わせに応じた大技を出すことも可能になる。
「分裂」は非常に強力で便利だが、1ターンに1色しか分裂させることができない。一度分裂すると、戦闘終了後もそのまま持ち越せるが、エルテが敵から攻撃を受けると分裂が解けてしまうこともある。また、すべての色を分裂させると使える「フィニッシュ」は敵全体に大ダメージを与えられる究極技。しかし、発動させるとすべての分裂が解けるというデメリットもあり、使うタイミングを見極める必要がある。