太陽系全体を俯瞰的に眺めたり、惑星上から星空を観察したりできる天文シミュレーションソフト。あらかじめ「コンテンツ」として登録しておくことで、再現したい天文現象を簡単に呼び出せる。「太陽系シミュレータースタジオ Publicβ」は、“太陽系全体を旅するような楽しさが味わえる”天文シミュレータ。ソフトは、シミュレーションの基本設定を行う「コントロールウィンドウ」と、表示を行うための「シミュレーションウィンドウ」で構成される。惑星や星座などの表示/非表示設定など、シミュレートの方法をコントロールウィンドウで指定すると、シミュレーションウィンドウに反映される仕組み。シミュレーションウィンドウでは、マウスをドラッグすることで視線の方向を変えたり、観察対象の天体との距離を変更したりできる。
シミュレーションウィンドウをコントロールウィンドウに組み込んで一画面表示にできるほか、シミュレーションウィンドウだけを全画面表示にすることも可能。個人で楽しむ場合やマルチモニタ環境でプレゼンテーション用に使う場合など、利用環境に応じたセッティングが可能だ。
コントロールウィンドウは、設定項目内容でさらにいくつかのエリアやタブに分けられているが、シミュレーション操作のほとんどは「基本設定」から行える。基本設定の内容は、主に観察対象天体を設定する「視点設定」、シミュレートする日付と時刻の設定と表示オプションの設定だ。「視点設定」では、太陽系全体を眺める「太陽系モード」をはじめとして、「火星系」「木星系」など、観察対象をリストから簡単に選べる。
太陽系や惑星系全体を眺めるだけでなく、惑星上の特定の座標から見上げた天空を再現することも可能。切り替えは「離陸/着陸」というコマンドで行い、軌道上から惑星上へというようにアニメーションで視点が変化する。さながら宇宙を遠く旅して、たどり着いた惑星に降り立つような演出がなされる。
観測点は、(地球の場合)都市名を選ぶほか、南極・北極などで指定できる。地球以外にも火星や月には一部、名前がついている場所(地形)もあるが、ほとんどの天体では観測地を緯度と経度で設定する。観測地に名前をつけて保存することも可能で、保存しておけば、地球の都市名と同様にリストから選択できるようになる。
表示は、恒星名や星座名・星座絵といった一般的なものに加えて、自転軸や軌道傾斜角などまでも表示できる凝ったもので、惑星同士の位置関係などをより具体的にイメージできる。さらに、観測地の風景の表示方法(ポリゴン/絵など)、天の川の表示方法(ポリゴン/テクスチャ)や解像度、流星の表示などを指定することも可能だ。
「基本設定」以外では、選択中の観測地から特定の天体を簡単に見つけ出すのに便利な「センタリング」(観測位置はそのままに、目標の天体をシミュレーションウィンドウの中央に表示できる)や、個々の天体ごとに表示オプションを指定できる「天体表示」といったタブがある。さらに「シナリオ編集」では、これらのシミュレーション操作をコマンドで設定できる。シナリオ編集は基本的にテキストエディタで、ツールバーにはカット&ペーストやUndo/Redoなどのほか、現在の視点情報を記録するボタンや操作の記録・シナリオ再生のためのボタンなどが用意されている。
シミュレーションの操作および設定を一つのテーマに沿ってまとめたものを「コンテンツ」と呼ぶ。例えば、「今夜の星空を再現したい」といった操作を行う場合、シミュレーションコントローラで一つずつ設定してくのは手間がかかるが、あらかじめコンテンツとして登録しておくことで、すぐに呼び出せるようになる。プリセットコンテンツには、日周運動や年周運動、日食が起きる仕組みなどが収録されており、「基本設定」などのボタンを操作しなくても、メニュー形式でいろいろな天文現象を見ることができる。コンテンツはHTMLファイルの形で作成され、プリセットコンテンツから選択するほかに、ユーザがオリジナルのコンテンツを作ることももちろん可能。コンテンツには画像や動画を含めることもできる。
そのほか、現在のシミュレーション設定を保存したり、表示中のシミュレーションウィンドウの様子をプリントアウトする機能などがある。