起動すると、3オクターブ分のキーボードが表示される。キーボードをマウスでクリックすることで演奏を行えるが、このときの音色を、ユーザが自分で録音した音や既存のWAVファイルから取り込んだものに変えられる点が「Claviwave」の特徴だ。

録音は、マイクまたはライン入力から行う。録音可能時間は3秒間（先頭の無音部分は自動的に削除されるので、実際には3秒より短い時間になる）。録音した音声は保存することも可能だ。読み込まれた音声は、3オクターブのうちの真ん中の「ド」の音になり、それ以外の各キーには、それぞれの音階に変換されて音が割り当てられる。

WAVファイルから読み込む場合も同様に最大3秒となる。それよりも長いファイルは最初の3秒分だけが読み込まれる。また、この際、ステレオデータはモノラルに変換される。読み込まれたデータが真ん中の「ド」に設定されるのは、録音時と同じだ。

音声の取り込み時間は最大3秒と限られているが、実際には3秒はかなり長いので、まったく問題はない。3秒の中に二つ以上の音が入っていてもよい。キーを押し続けていれば押している時間の分だけ再生されるので、複数の音が入っている素材を使うと、また違った効果が出て楽しめる。ただし、パソコンのキーボードの打鍵音のような音では音階変換の効果があまり出ないので、はっきりした音の方がいいだろう。

現状ではマウスによる演奏なので、和音を弾くことができないし、また「演奏して楽しむ」というソフトなので、演奏自体を保存する機能などもない。が、今後こうした機能が追加されてくれば、メールチェッカの通知音に、このソフトで作ったWAVファイルを使ったりと、さらに楽しみの幅が広がってくるだろう。これからの機能充実が楽しみなソフトだ。

開発中に苦労した点
音の長さを変えずに音程だけを変換する具体的なアルゴリズムがわからなくて苦労しました。ネットで検索してもほとんどヒットしないし、デジタル信号処理の本にも具体的なことは載っていないので、断片的な情報の中で手探りで作りました。

試行錯誤を繰り返し、中には音声波形の周期を推定して切り出したりする凝ったアルゴリズムも試しましたが、複雑なものが必ずしもよい結果を生まないということもあったりして、2週間ほど悩みました。最終的には拍子抜けするような単純なアルゴリズムできれいな音が出るようになりました。

ユーザにお勧めする使い方
メロディをつけて演奏すると、元の音からイメージしていたものとは違った感じになります。単音で聞いたときにおもしろい音が、メロディにしてもおもしろいかというとそうでもなかったり、逆に単純な音がメロディにするとおもしろかったりするので、そうした自分のイメージとのギャップも含めて、いろいろ試して楽しんでみてください。

今後のバージョンアップ予定
自動演奏の曲をもっと増やしたいのですが、曲を入力したり伴奏を考えたりする作業が結構大変なので、何らかの形でユーザ自身が曲を増やせる機能ができたらいいなと思っています。が、なにぶん日曜プログラマなので、いつのことになるかはわかりません。あしからず。