プレイヤーが操作するいかちゃんは一見、イカに見えるが、頭の形がイカとはちょっと違う変わった生き物。記憶を失っており、自分が本当は何者なのかわからない。いかちゃんが目覚めたのは海の底だが、「ここがどこなのか」「どうしてここにいるのか」も、もちろんまったくわからない。仕方がないから、様子がわかるまでとりあえず海底を探検だ……ということで、ゲームがはじまる。

プレイに使用するキーは【Z】/【S】/【←】/【→】の4個だけ。【Z】キーでイカ同様に水を噴射して進み、【←】/【→】で進行方向を変える。【S】キーはアイテム画面を開くもの。いかちゃんが噴射で進めるのは最初、真上と左右の斜め上だけで、真横に進むことはできない。水中で浮かんでいるためには噴射を繰り返さねばならず、噴射をやめると自然に沈んでゆく。

海底のグラフィックやいかちゃんをはじめとした海底の住人たちのデザインはよくできており、魚たちの動きも楽しい。なんといっても「いかちゃん」の動きがすばらしい。海の中をなかば漂いながら泳いでいる感覚がなかなかリアルだ。

最初のうち、主人公の正体もゲームの目的もまったくわからないが、海底をあちこちくまなく探索し、友好的な海底の住人たちとの会話を重ねていくうちに自然と次にやるべきことがわかってくる。こうしたことを繰り返していくうちに、いつの間にかエンディングにたどり着いているという作りで、途中にはボスキャラとの戦いもあり、ラストにはちょっとした驚きの展開とエンディングが待ち受けている。気楽に楽しめるほのぼのとしたゲームが好きな人は、ぜひプレイしてみてほしい。

けれど、箱庭型ゲームへのイメージは膨らむばかりで……。それなら、まずはノウハウを身につけようと、小さくてシンプルな箱庭タイプのゲームを作ろうと思い、「いかちゃん」の制作をスタートしました。

基本的なシステムができたら、そこにおもしろそうなイベントを盛り込んでいくわけですが、気軽に「いいな」と思ったアイデアでも、実現しようと思うと膨大な労力が必要だったりします。そんな風に制作中は「労力」と「おもしろさ」の取捨選択に悩むことが多々ありました。そのたびに、自分の都合のいいように（納得いくように）仕様とシナリオを変更したのです。これは、趣味でゲームを作る上での重要なメリットだと思っています。

ゲームの内容は前もって何もいうことはありません。ぜひ、気軽にやってみてください。その際、感想やバグ報告をいただけると幸いです。

今後、バグの修正はしますが、続編を出す予定はありません。ですが、このゲームで身につけたノウハウで、本当に作りたかったゲームを制作中です（もう３年が経過しています……）。完成したら、一人でも多くの人に見てもらいたいと思っています。そういうわけで、次回作をよろしく。