現実世界と他人の夢の世界を交互に冒険しながら展開していくファンタジーRPG。戦闘や謎解きといったゲーム的な要素は抑え、ストーリーを重視した構成で、サウンドノベルをプレイするようにサクサクと進められる。RPGの戦闘が苦手な人でも気軽に楽しめる。主人公のジェードは、有名な師を持つ神霊治療師。神霊治療師とは、夢に寄生して生気を吸い取る魔物=夢魔を退治する職業で、夢魔退治のために「思念体」という実態のない存在として患者の夢の中に入っていく。ジェードは、弟子のベリルと世界中を旅しながら夢魔退治を行っていたが、ある日久しぶりに故郷に足を伸ばす。そこで、師の要望により無理やり一人の患者の治療を任される。気軽に治療をはじめたジェードだが、意外な真実が明らかになる……というストーリー。
プレイヤーはさまざまなイベントをこなしながら、現実世界と患者の夢の世界を交互に冒険する。夢の世界では夢魔やモンスターとの戦闘もあるが、「トラベラー改良版」の魅力はなんといってもストーリーのおもしろさにある。女好きの主人公と生真面目な弟子の少女、主人公が使役する精霊たちや間抜けなモンスターなど、個性的なキャラクタによるコミカルなやり取りが楽しい。
ゲーム内の戦闘は独特だ。戦闘は夢の世界で起こるため、武器や防具などを現実世界から持っていくことができない。武器やアイテムは夢の中で探すか、夢の商人などから購入しなければならないのだ。ただし、「マジックカード」と呼ばれる魔法アイテムだけは例外で、現実世界から夢に持っていける。夢の中の特定ポイントで「マジックカード」を使うと、その場に集まっている魔法の力を封じ込めて、あとでその魔法の力を利用できる。封じ込めて再利用できる魔法には、味方の体力を回復するものから、敵に毒を盛る魔法まで、さまざまなものが用意されている。たくさんのカードを集めることで、戦いを有利に進められる。夢の世界の人々に話しかけると、強力な仲間になってくれる場合もある。
「レベルアップ」という概念がないことも特徴のひとつ。そのため、より強い敵を倒すには「マジックカード」を増やすか、特殊能力で「思念体」を強化するか、強い武器を手に入れる必要がある。ただし、現実世界のお金は夢では使えないため、武器を手に入れるには夢の中でお金を稼ぐ必要がある。