ロボットといっても、線のつながりだけでできているため、静止している間は2次元的なスタイルに見えるが、動かしてみると奥行きが感じられるからおもしろい。筆者は初代ホワイトiBOOK(500MHz)で使ったが、シミュレーションソフトとして動きがきわめてなめらかな点もうれしい。「点とスプリング、筋肉をつなげる」ということ以外には、特に制限がないので、アイデア次第でどんな形を作ってもいいわけだが、重力が働くため、単なる「点」や「線」は地面に落下して、そこでストップしてしまうので、基本的には、固定点を一つ設けて空中にぶら下げるか、多角形、球形、あるいは多面体といった、重力でつぶれたり倒れたりしないような形を作るといったところが、最も簡単なアプローチとして考えられるだろう。また、有機体のようにうまく見せるには、動作が持続する(止まらない)ように調整したり、不可視の点や筋肉をうまく利用することがカギになる。
マニュアルには、二つの筋肉だけによる非常に単純な構成のロボットに、振り子/回転運動をさせるための条件(タイミング)や、フィールド上で形が壊れにくい安定した形状(三角形が最も強い)など、ロボットの基礎的な動作と構築法が簡潔に、わかりやすく説明されている。
思い通りのロボットを、一から構成するのはなかなか難しいが、はじめは簡単なものを作って、ロボットの性能と外部条件を調整しながら、試行錯誤してみるといいだろう。もちろん、いろいろと物理的条件を計算(調整)して精緻なロボットを作ることも可能だが、予想どおりにいかない動作に「愛敬」を感じられる人なら、適当に作って動かすだけでも結構楽しいはずだ。また、サンプルのロボットがいくつか付属しているので、これを読み込んで動かしたり、自作の参考にするのもいいだろう。
(坂下 凡平)