ソフトを開発しようと思った動機、背景
中学校で学習する関数は、かなり難しい分野です。それは、関数そのものの考え方が、生徒にとって日常生活上あまりなじみがないということがネックになっていることにあるように思われます。そこで、学習者に視覚的に訴えることができるパソコンの画面を通じて、グラフから関数に迫ってみようということから、このソフトを作りはじめました。本当のことをいえば作りはじめのころは、グラフを書くという作業は本当に面倒なので、自分が教材を作成するときに一発でグラフが書くことができないか、しかも番号を付けてワープロソフトにコピーして貼り付けできれば、教材作りやテスト作りがグッと楽になるだろうなと思っていました。作りはじめると次々と欲が出てきてしまい、自分が授業をするときに自分の手助けになるソフトにしようと思ったのが、このソフトを最終的にまとめ上げた動機です。開発中に苦労した点
パソコン上で表される座標系とグラフ上に表される座標系がそのまま対応していないので、それを対応させるのに一番苦労しました。次は、グラフを印刷したとき、直線はうまく表現できたのですが、2次関数の滑らかな曲線を表すのに苦労しました。それらのことをクリアしたあとは、ゲーム風にしていかに生徒に飽きさせないように進めていくのかという点や、数学的な正解とパソコンで表現させる正解との許容範囲をいかに設定するかに苦労しました(特にグラフをいかに書かせて、それを正解かどうか判定するところなどです)。
ユーザにお勧めする使い方
上記にも記載しましたが、基本的に中学校で学習するグラフに関してはいろいろなことが、できるようにしてあります。特に教材作成においてグラフをプリント用紙に挿入したり、テスト問題に挿入したいときに、番号を付けて利用できます。そのほかの利用の仕方は以下の通りです。[]内は実際のメニューです。
[グラフの書き方マスター]──比例、1次関数、2次関数のグラフの書き方を示します。式が表れ、その式に沿って、Xの値に対応するYの値を入れていきます。すると、パソコンが自動的に座標をプロットします。「正解」判定もします。代表的な点を表に入力したあと、点を次第に細かくプロットしながら、グラフの書き方を示します。
[グラフ作図]──1次関数、比例、反比例、2次関数、X軸に平行なグラフ、Y軸に平行なグラフを書かせることができます。印刷、コピーもできます。
[グラフの性質]──1次関数のグラフの傾きや切片、2次関数、反比例関数の比例定数を変化させて、グラフがどのように変化するかを調べます。残像を残しながら変化もできます。
[グラフゲーム]──1次関数、2次関数、反比例関数のグラフの特徴を理解させるゲームや、1次関数のグラフから式を読み取らせるゲーム、1次関数のグラフの式からグラフを書かせるゲーム、2次関数・反比例関数についても同様のゲームがあります。1次関数の変化の割合とグラフの傾き、1次関数のグラフと変域のゲームもあります。同様に2次関数のゲームもあります。
[グラフ方程式と解]──グラフの式と方程式の解の関係について、1次関数同士、1次関数と2次関数の場合について、グラフから理解させるようにしてあります。
[グラフ変化の割合と傾き]──1次関数、2次関数の変化の割合とグラフの傾きについての基礎を学習できます。グラフ用紙上で変化させながら、変化の割合を表示させました。
[グラフと変域]──1次関数、2次関数の変域についての理解を深めることができます。グラフ上に変域を変化させながら、図示するよう工夫しました。
今後のバージョンアップ予定
できれば、音楽データなどを付け加えさらに、楽しく学ぶことができるようにしたいと考えています。
グラフマスター Ver.2.41との相違点と注意事項
ソフトの内容面では、グラフゲームにおいて2次関数の変化の割合ゲームがなかったのを付け加えました。また、1次関数、2次関数変化の割合ゲームと変域ゲームにおいて、表を完成させながら自然と正解に導いていくプログラムを追加しました(ヒント表)。また、1次関数グラフ書きゲームでの判定を精密にする工夫がしてあります。
1次関数グラフ書きゲームと1次関数グラフ式当てゲームでは、「まとめのテスト10問」と題して、自分の成績をパソコン上に残せるようになっています。また、生徒番号でログオンすると、自分の生徒番号が登録され、ゲームをはじめた年月日とともにベスト5の成績を保存できるようになっています。教師側は「グラフマスター Ver.3.21」同梱の「グラフマスター成績表 1.2」で、生徒の個々の成績とそのコンピュータを使用する生徒全員の最高得点を読み取ることができます。パスワード付きなので、生徒が人の成績を勝手に見ることはできません。
また、「グラフマスター Ver.2.41」には、2次方程式の解を求めるプログラムを付録として付けていましたが、今回配布の「Ver.3.21」には付けていません。ソフト自体として、「Ver.2.41」はフォルダの中の「Setup」をクリックすると、VB6ランタイムを自動的にインストールするようになっていましたが、「Ver.3.21」では「グラフマスター Ver.3.21」単独のファイルとなっています。従って「グラフマスター Ver.3.21」のアイコンをクリックしただけでは「プログラム開始エラー」が出たり、「***.DLLがありません」などのメッセージが出て、プログラム自体が動かないことがあります。そのときはVB6ランタイム付きの「グラフマスター」をダウンロードして、フォルダの中にある「Setup」からインストールしてください。
(乾 正)