「空 〜KU〜」はイザヤと呼ばれる熱血青年が主人公の長編RPG。主人公が住む大羅天大陸では、昔から人間と妖怪が平和に共存していた。しかし、ある日を境に妖怪達は凶暴化し、人間を襲いはじめてしまう。そのような状況のなか、イザヤは有名な大僧侶から訪問を受け、自分が魔を払う「破邪六家」という宗家の血を引いていることを知らされる。そして、妖怪が凶暴化した理由と「破邪六家」の仲間を求める旅に出発する。仲間となるのは博学だが女好きで酒飲みの大僧侶や、毒舌で怪力の隻眼の女剣士など、個性豊かなメンバーばかり。ストーリーの途中で挿入される、メンバー同士の軽快な会話も魅力だ。

ゲームシステムも特徴的。「空 〜KU〜」には敵を倒すと自動的に各能力値が上昇する「レベルアップ」の概念が存在しない。プレイヤーは、妖怪を倒すと手に入る「符」を集めて店に持っていく。店ではこの符と引き換えに防御力や攻撃力、敏捷性などを強化してくれる。また、回復アイテムや防具を購入するお金も、符を換金して手に入れる必要がある。

ダンジョンなどで拾える「神珠」でもパワーアップ可能。神珠を武器や防具に装備することで、武器などの攻撃力が上昇する。神珠は武器や防具に各10個まで装備でき、珠の組み合わせによって強化の度合いが変動する。

破邪六家の各メンバーが装備している「勾玉」もバトルを有利に進めるためのポイント。各勾玉には「剣士」や「治癒師」といった属性があり、これを装備すると属性に合わせた必殺技や回復魔法などが使えるようになる。ただし、攻撃力の高い必殺技を覚えるには、勾玉を装備した状態で戦い、勾玉のレベルを上げなければならない。また、勾玉はメンバー同士で交換することも可能だ。2種類以上の勾玉を最高レベル（レベル20）まで育てると、両方の能力を一度に使える上位職種の勾玉ができることもある。

ゲームの途中では、ダンジョンを使った謎解きや、暗号問題などのパズル要素も用意されており、頭を使わないと前に進めないこともある。また、アクション要素の強いミニゲームが複数用意されており、単調になりがちなRPGを最後まで飽きさせない工夫がふんだんに盛り込まれているのがうれしい。

グラフィックの美しさも必見だ。特に敵妖怪のグラフィックは、浮世絵をそのまま持ってきたかのような迫力がある。

ストーリー、グラフィック、ゲームシステムともに非常によく考えられており、最後まで楽しめた。ただ、一つ気になったのが強化システムのバランスだ。少数のキャラに偏った強化を施すと、最終的にはほとんどの敵が一撃で倒れてしまい、ゲームバランスが悪くなるのが少し気になった。

なお、Ver.106aへの修正ファイルを作者のホームページよりダウンロードできる。

開発中に苦労した点
システム作成とそれにともなうデバック。いつまでたってもなくならない、星の数ほどのバグたちに泣かされました。ゲーム完成を楽しみにしてくださっていた方々の温かい励ましや応援がなければ間違いなく途中放棄していたコトうけあいです。

ユーザにお勧めする使い方
能力パラメータをプレイヤー自身の判断で振り分けていく際、ひとりのキャラだけを強くするのに専念すると、あとで泣きをみます。また、主人公たちをあまりにも強くしすぎてしまうとラスボス戦がショボショボになるのでご注意ください。

今後のバージョンアップ予定
基本的にバージョンアップは考えていませんが、致命的なバグが見つかればそのつどアップします。