ソフトを開発しようと思った動機、背景
「ブラウザ」には「拾い読みする人」という意味がありますが、「Area61 ビデオブラウザ」はその名の通り、動画を拾い見するためのソフトです。長い動画でも短時間でその内容を理解できたり、見たい個所をすばやく探し出せたりすることを開発の目標としました。そこで「ビデオブラウザ」を作成するにあたっては、まず、静止画インデックス作成機能と、高速再生および高速逆再生機能とを実装しました。これにより、ビデオから見たいシーンを探すことはかなり楽になったのですが、使ってゆくうちに、いったん見たいシーンを探し出すと、その部分に関しては極めてじっくり見たい場合が多いことに気づきました。そこで、スロー再生機能、コマ送り再生機能、リピート再生機能を追加実装し、フルスクリーン表示もできるようにしました。また、他の利用者の方からの要望を取り入れ、指定区間を連番静止画として連写キャプチャできるスナップショット機能を組み込みました。
ユーザにお勧めする使い方
まだ思考錯誤しながら機能アップを重ねている段階ですが、自分自身が動画を見る際にはこの「ビデオブラウザ」を常用しています。また、撮りだめしたDVカメラ映像から静止画を作るためにも頻繁に利用しています。ここでは、お勧めする使い方として「ビデオブラウザ」らしいちょっとユ二一クな機能を紹介させていただきます。
- スロー再生や、高速再生モードでのリピート再生ができます。また、Ver.1.7からは、全画面再生中にカーソルキーで先送り、巻き戻し再生ができます
- 動画再生中にでも静止画インデックスの個数(ショットの時間間隔)の変更ができ、見たい個所を探す際に便利です。静止画をダブルクリックすると、選んだ個所から再生が始まります
- 任意サイズ、任意縦横比の静止画をスナップショット作成できます。DVキャプチャしたAVIファイルの場合には、静止画のインターレース解除(櫛型ノイズ解除)が可能です
開発中に苦労した点
動画をすばやく見ることが目的のソフトですので、GUIは非常に重要であると考えています。特に動画再生機能と静止画インデックス表示機能の操作性については、ユーザインタフェース上、改良すべき点がまだまだ多いと感じています。これに関しては、自分の思い込みというよりは、他の利用者の方々の要望をできるだけ取り入れていきたいと思っています。他の点として、さまざまな種類の動画に対応することが難しかった点が挙げられます。DirectShowを利用しているのですが、動画圧縮方式ごとに違った振る舞いをすることがあり、その差異を吸収することに苦労しました。例えば、最近流行のDivX動画から静止画スナップショットをとる際、DirectShow標準の方法が使えず、独自の方法で実装しました。残念ながら、ASF/WMVのスナップショット作成、静止画インデックス表示は現時点でまだ対応できていません。
今後のバージョンアップ予定
数年前まで、パソコン上でフルモーションの動画を滑らかに表示するなど夢のまた夢という感じでした。パソコンで動画を扱えるようになったのは最近のこと。まだまだ発展してゆく分野と思います。Area61.NETとしても、現在、動画処理関連ソフトとして以下のフリーソフトを公開しています。
- DVビデオキャプチャ:DVカメラ用ビデオキャプチャソフト
- DVビデオライタ:DVテープにビデオを書き戻すソフト
- DVビデオタイマ:DVキャプチャしたビデオファイルに撮影日時を刻印するソフト
- DVビデオスナップショット:DVカメラから直接静止画をキャプチャするソフト
ビデオブラウザの方向性として、これらの関連ソフトと連携して動くように発展させてゆくことを考えています。また、ビデオ編集やビデオストリーミング関連のソフトを新規に開発して、その機能の一部としてビデオブラウザを使ってゆきたいと思っています。「ものを作るときには、その利用者と対話しながら作らないといけない」ということを、メーカーで商品開発業務をしていたころに感じました。初心を忘れることなく利用者との対話を大切にしてゆきたいと考えています。最後になりましたが、詳細なバグレポートや知見に富んだ要望等をお寄せくださった数多くの利用者の方々に、心よりお礼を申し上げます。今後もご意見ご要望等、support@area61.netにどしどしお寄せください。
(Area61.NET)