「nave the BK - nave player」は、Windows標準のMedia Playerなどと同じく、多彩な形式の動画および音声ファイルを再生できるマルチメディアプレイヤー。外観は、再生ウィンドウにシンプルなツールバーを付加したWindows Media Player 6.4に近いイメージだが、外観のシンプルなイメージと異なり、機能は非常に豊富だ。AVI/MPEG/MP3など、DirectShowで再生できる形式のほとんどをサポート。単独のファイルの再生はもちろん、あらかじめ複数のファイルを指定しておき、これらを順番に再生することも、ランダムに再生することもできる。また、1ファイル内の任意の範囲を指定して再生するA−B再生機能、再生途中で「nave player」を終了させた場合、次回起動時に前回の終了位置から続きを再生する「レジューム再生」機能なども備える。

可変速再生機能は、0.5倍のスロー再生から4.0倍の高速再生まで、全部で23段階の速度をサポートする。再生速度はプルダウンメニューから選択するようになっており、再生中、いつでも好きなときに変更することが可能だ。

最大の特徴は、再生速度変更の際、再生音声の音程を極力、維持するタイムストレッチ再生機能をサポートしている点だ。通常の可変速再生では、例えば高速再生を行うと、言葉が高音になったり早口になったりして聞き取りづらくなってしまうが、「nave player」のタイムストレッチ機能では、音程を変えずに再生時間だけを変化させるため、再生速度を変化させても内容を聞き取りやすい。

動画の再生では、明るさやコントラスト、色調補正といった各種調整をリアルタイムで行うビデオフィルタ機能をサポートする。ビデオフィルタは、一般的なものはもちろん、動画の動きを強調する「モーションブラー」、画面を4分割して同じ動画を少しずつ時間をずらして再生する「Delay 4」などユニークなフィルタを多数、備えている。

これはこれで喜ばしいことなのだが、反面、この種の動画があまりたまりすぎると「見る暇がない」という問題も浮上してくる。ビデオやCDのコレクターには、膨大なライブラリを築き上げても、それらのすべての再生時間を足し合わせると、死ぬまでの間には決してすべてを見る/聴くことができないだろう、という人がいるが、パソコンで再生する動画でも似たような人がいるだろう。若い人ならともかく、社会人ともなると自由になる時間はそうそうあるものではないし、寿命だって限られているのだ。

ちょっと話が大げさになったが、この「nave the BK - nave player」は、そうした「見るべき/聴くべき」ファイルを多数持っていても、それを見る/聴く時間が限られている人にとっては福音ともいえるソフトではないだろうか。

タイムストレッチ機能のないソフトであっても、動画であれば2倍〜4倍程度の速度ならばなんとか見ることはできる。しかし、音声に関してはそうはいかない。単に再生速度を変えるだけでは、だいたい2倍くらいの速度から、かなり聞き取るのがつらくなる。しかし、タイムストレッチ機能があれば、こうした問題はおきづらい。さすがに、延々と音が続く音楽は厳しい場合もあるが、普通の会話程度ならば、2倍程度でも違和感なく聞き取れるからだ。

好きなときにいつでも再生速度が切り替えられるのも便利だ。通常、パソコンのメディアプレイヤーというと、早送りや巻き戻しは思ったようにうまく動かないものが多く、短時間の早送りならむしろ普通に再生してしまった方が速い、といったものもあるが、「nave player」ならばそんなこともない。これだけ速度切り替えがスムーズであれば、長時間の動画再生でも苦にならないだろう。

開発中に苦労した点
ファイルの形式によって挙動が違うため、多くの形式に対応するのは困難でした。現状でもまだ対応しきれているとはいえない状況ですが、できるだけ改善していきたいと思います。今回はユーザインタフェースを、自分たちにとって使いやすいものを追求するのか、より多くの人にとって使いやすいものにするのかでよく議論になりました。結局、基本路線は後者の方針で行くことになりました。

今後のバージョンアップ予定
要望や気づいたことなどありましたら、ちょっとしたことでも遠慮せずに私たちのホームページに設置している掲示板に書き込みいただけたらと思います。やはり実際に使っている方の意見は非常に参考になります。いままでも随分お世話になりましたし、これからもなると思います。

その他
話速変換の便利さは使ってみないとピンとこないので、とにかく試しに使ってみてください。