デジタルカメラの普及により、写真データはパソコン上で編集・管理するのが当たり前になった。こうしたパソコン世代における操作パラダイムは「デジタルカメラを映像の入り口とし、中心となるパソコンで管理・加工、そして最終的にプリンタで印刷したり、Webで公開したりといった出口に出力する」といった流れだ。模式図にすると、画像の管理・加工を行うパソコンが中心核のスター構造だ。だが、こうしたスタイルは、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスの普及で、次第に変化しつつある。こうしたモバイル機器が進化した結果、例えばスマートフォンで撮影し、そのまま簡単な加工を行い、そしてTwitterなどで公開といった、必ずしもパソコンを経由しないデータの流れが発生してきた。ただ、本格的な加工やデータ管理を行おうと考えると、よりパワフルなパソコンが必要とされることもある。
つまり写真データは、スマートフォンなどのモバイル機器内で完結する場合もあれば、パソコンに転送される場合もある。複数の機器同士の結び付きは、昔のように「中心核」を持たず、個々の機器同士でさまざまな方向にデータが流れる「メッシュ構造」に変化してきたといえる。
このような状態になると困るのが「ある特定のデータがどこの機器に存在するかがわかりづらくなる」ということ。データを保存する引き出しが一つだけならよいが、複数の引き出し(機器)がそれぞれ個別にデータを持つようになると、ユーザは、どの引き出しにデータをしまったのかがわからなくなってしまう。
こうした問題を解決するのが、「Photoshop Elements 12」に搭載された「モバイルアルバム」機能だ。メッシュ状に結び付いたいずれの機器からも独立したクラウドサーバ上にすべてのデータをまとめて置くことで、複数に分散された引き出しをもう一度ひとつにまとめてしまおうというものだ。
データをクラウド上に置くことで、外出先からでもいつものデータにアクセスできる。モバイル機器のネットワーク機能が強化されたことで、いままでよりはるかに使いやすい環境が手に入ることになった。今後、データ管理機能はますますこうした方向に進んでゆくに違いない。静止画の「Photoshop Elements 12」、同時に登場した動画編集ソフトの「Premiere Elements 12」のモバイルアルバム機能は、まさにそうした方向性を示している。
(天野 司)