サンタクロースに拉致された青年の冒険を描く短編ファンタジーRPG。全編コメディタッチのシナリオながら、エンディングではホロリとさせられる。「聖なる夜のホーリーナイト」は、現代に住む普通の青年を主人公にしたRPG。無職で恋人もいない主人公は、カップルが楽しげに街を闊歩するクリスマスが嫌い。そんな主人公が、クリスマス一色の街を不機嫌に歩いていると、突然大勢のサンタクロースに取り囲まれ、拉致されてしまう。拉致された先は「サンタクロースの聖地」といわれる「ラップランド」。ここで主人公は、「サンタクロースとしてプレゼントを渡す仕事」を言いつけられる。プレゼントを渡す相手は、なんと異世界の「魔王」だった。
先輩サンタクロース「ノエル」と異世界に飛んだ主人公は、魔王が「聖剣」を欲していることを知る。しかし、聖剣はすでに伝説の勇者「アレク」の手に渡ったあとだった。主人公は剣を手に入れるチャンスを窺うため、アレクとともに魔王討伐の冒険に参加する。
ゲームの大きな魅力になっているのが、次々に勃発する“あり得ないシチュエーション”と、展開の早いシナリオ。なかでも、現代日本で育ったシニカルな主人公と、正統派RPGに出てくる勇者そのままの性格をしたアレクの、漫才のようなやり取りはおもしろい。また、子どもに夢を与えるサンタクロースのはずなのに、やたら暴力的なノエルの突っ込みなど、キャラクタの個性も光る。
ゲーム内では、主人公の行動を決める選択肢が表示されることがある。プレイヤーの選択で、複数のエンディングが切り替わる。すべてのエンディングを見ることで、事件の真相がわかる仕組み。シナリオは全体的にコメディタッチながら、最後は感動できるストーリー性の高さも持ち合わせている。
戦闘システムは、半リアルタイムのアクティブタイムバトル制。戦闘がはじまると、敵・味方それぞれに「WAIT」と表示されたゲージが割り当てられる。ゲージが満タンになり、「WAIT」の文字が「ACTIVE」に変わったキャラクタから行動を起こせる。ゲージが満タンになる速度は、キャラクタの「敏捷性」ステータスによって異なる。敏捷性が高いキャラクタは、ほかのキャラクタが一度行動する間に二度、三度と行動を起こせる。
キャラクタの行動は、通常攻撃のほか、「スキル」「奇跡」「アイテム」「防御」「逃走」の6種類。スキルでは、通常攻撃よりも強い攻撃力を持つ「強打」や、相手を攻撃するだけでなく、一時的に行動不能にする「グランドラッシャー」など、さまざまな行動を起こせる。ただし、スキルの使用時は、その強さにともなった量の体力を奪われるので、注意が必要。
強い敵と戦うのに重要になるのが「奇跡」。奇跡は、「全員の体力を回復」「全員のステータスをアップ」など、戦闘での強い味方となる回復・補助系の魔法を使えるコマンドのこと。奇跡の実行は、キャラクタに割り当てられた「LP」ポイントを消費する。
「LP」は、キャラクタが復活可能な残りポイントのこと。味方キャラクタの体力が0になり、行動不能になっても、LPが残っていれば数ターンで復活できる。逆に何度も復活や奇跡を使用して、LPがない状態で戦闘不能になった場合は、復活用のアイテムを使用するか、LP補充のアイテムを使う必要がある。
戦闘難易度は、RPGをあまりプレイしていない人にとっては少々高め。敵の攻撃力が強いので、回復用アイテムを惜しむと、あっという間に殺されてしまう。このため、ゲームの途中で何度か遭遇する「回復ポイント」が重要になる。回復ポイントでは、体力やLPなどを回復できるほか、倒した敵から奪ったMPを使って、アイテムを生成することも可能。不要なアイテムをMPに「分解」することもできる。
味方キャラクタが利用する「スキル」や「奇跡」の装備も重要だ。キャラクタにスキルや奇跡を使わせるには、あらかじめ利用する行動をキャラクタに「装備」させる必要がある。装備させるスキルなどは、ダンジョンの宝箱などで拾える。