「Tonyu System」は、特別な知識を必要とせず、誰でも手軽にアクションゲームを作成できる統合開発環境だ。ゲーム作成のための作業は簡単で、新規にページを作成してオブジェクト（キャラクタ）を作成し、これをダブルクリックして、スクリプトで動作を指定する、ということを繰り返していけばよい。

スクリプトは、個々のキャラクタに対して1対1で記述できるため、プログラム全体を意識することなく、そのキャラクタが「生まれてから死ぬまでにどのような動作をするか」だけを考えて書ける。しかも、キャラクタをコピーすると、そのキャラクタに定義されているスクリプトも同時にコピーされるため、同じ動作をするキャラクタ、似たような動作をするキャラクタを大量に配置することが簡単にできる。

もちろん、ゲームの作成に必要なグラフィックスやサウンド、キー入力などに関するライブラリはひと通り用意されており、これらの機能も簡単に使用できる。DirectDrawの回転・拡大・半透明合成機能などもサポートしている。

ゲームに使用するキャラクタパターンはビットマップで自由に作成できる。透明色の指定も簡単。作成したキャラクタはページ上にマウスで自由に配置できる。キャラクタパターンを背景として使用する場合は、マップエディット機能を使って、パターンを画面上に簡単に敷き詰めることができる。

サンプルプログラムが多数用意されていて、とりあえずすぐにゲームを楽しむことができる上、どのようなゲームが作成できるのか具体的なイメージを把握しやすいのもうれしい。シューティングゲームからパズルゲーム、格闘ゲームなど、工夫次第で大概のアクションゲームは作れそうだ。

ただし、プログラムの動作そのものは若干重めに感じられるので、ゲームを配布しようと思っている人はその点も考慮して設計した方がいいかもしれない。また、配布を考えたとき、ランタイムを作成してもスクリプトの内容は丸見えで、ユーザが自由に中身を読んだり改変したりできるのは、やむを得ないとは思うが、少し残念。

なんとか手軽さと単純さを失わないまま、たくさんのキャラクタを動かせないか……。そこでひらめいたのが「手軽な言語がいっぺんにたくさん走ればいいんじゃないか」というアイデアでした。

「Tonyu」では、1個1個のキャラクタがすべて独自のプログラムをもって走るので、各プログラムは非常に単純なものでも大丈夫です。それらが互いに連携して複雑なゲームを作り上げていきます。

ほかにも、「Tonyu」は実行前に画面のレイアウトが作れるのも特徴ですが、これは、いわゆるオーサリングツールを参考にしています。しかしオーサリングツールは決まった動作しかしないアニメーション向きなので、プログラム機能があまり充実していないのが難点でした。「Tonyu」は、「より手軽にプログラムが書けるオーサリングツール」ということができます。

開発中に苦労した点
上で述べたような、プログラムをいっぺんに走らせるといったことがやっぱり苦労しました。いっぺんに走るプログラムの数が多くなっても平気なように、メモリや速度の点で効率を上げなければいけなかったため、コンパイラだけでなく、いわゆる仮想マシンもすべて自前で作りました。

ユーザにお勧めする使い方
まずはサンプルゲームをやってみてください。それなりに遊べます。でも、ゲームを作るのも、ゲームをやるのと同じくらい、もしくはそれ以上に楽しいということを「Tonyu」を通じて体験してほしいと思います。公式サイトでは、みなさまの作ったプログラムを自由にアップロードできるコーナーがありますので、ゲームを作成したら積極的に投稿してくださるようお願いします。みなさんがプログラムの技を互いに競い合ったり、一つのプログラムを協力して作れるような環境を目指していきたいと思っています。

今後のバージョンアップ予定
ネットワーク対応や、ブラウザへの組み込みなど、コミュニケーションを重視したシステムへ発展させる予定です。