「PHOTO Selector」は、シンプルな画面デザインと簡単操作が特徴の画像ビューア。大量の画像もキーボードやマウスですばやく切り替えて閲覧できるほか、閲覧しながら必要なファイル、不要なファイルを振り分けて整理できる。表示サイズ、表示順の変更などもワンアクションで行える。お気に入り機能もあり、登録画像をすぐに呼び出せる。

メイン画面は、画像表示エリアの下に、表示画像切り替え用のスライドバーと、大きな青いボタン、小さな赤いボタンなどがコンパクトにまとめられたシンプルな構成。画像を閲覧するには、画像表示エリアにファイル、フォルダをドラッグ＆ドロップするだけでよい。画像の上側には画像サイズ、表示倍率、データサイズ、修正日などのデータもあわせて表示される。

複数の画像ファイルがドロップされるとスライドバーが有効になり、ここで切り替えて参照できるようになる。そのほかにも画像切り替えはキーボードや、ドロップダウンリストによるファイル一覧ですばやく行うことが可能だ。キーボードを使う場合は、現在の並び順で5個ずつ移動していくことも可能。並び順はフォルダ順、名前順、サイズ順など5通りから選択できる。

また、表示サイズをキーボードなどからワンタッチで変更することが可能で、640×480などのあらかじめ設定された3種類のサイズのほかに、任意のサイズ1種類をユーザ設定としてすばやく切り替えられる。

このように画像を希望の表示方法で閲覧できるのに加え、画像を整理するのに便利な機能を備えているのが「PHOTO Selector」の大きな特徴。閲覧をしながら、（1）現在のフォルダにそのまま、（2）お気に入りフォルダにコピー、（3）ゴミ箱に移動の操作をボタンクリックだけで行えるようになっており、お気に入りフォルダへのコピーは画面下部の青いボタンを、ゴミ箱への移動は赤いボタンをクリックするだけでよい。あちこちのフォルダに散らばった画像ファイルも、いったんお気に入りフォルダにコピーして、元のファイルはゴミ箱へ、といったような形で整理できる（ただし、ファイルそのものを操作するので、ゴミ箱に入れる際は要注意）。

お気に入りフォルダの登録も、画面下部にフォルダをドラッグ＆ドロップするだけと簡単。新規にフォルダを作成し、それをお気に入りフォルダとすることもできる。お気に入りフォルダを切り替えたい場合は、別のフォルダを設定すればよい。お気に入りフォルダの画像は、画面下部のハートマークボタンのクリックなどで、すぐに呼び出せる。

ウィンドウのアクセントにもなっている青・赤のボタンをはじめ、Mac OS XのAquaインタフェースを意識しているようなデザインもおしゃれで、Mac OS X版ではより画面にフィットするはずだ。

フォルダを読み込んで画像ファイルを1つずつ表示させ、必要なものは片っ端からお気に入りフォルダにとっておき、不要なものは直接ゴミ箱に捨てる、という使い方のイメージは単純明快。お気に入りフォルダに、同名のファイルがあるときは警告を出して保存をしない、といった細かな配慮もうれしい。一方、お気に入りフォルダは同時に1つしか扱えないので、たくさんの分類項目で整理したいときには、1項目ずつふるいにかけるような使い方になるだろう。

ところが毎日何百枚も撮っているうちに「あれー、すごくいい写真があったのにどこだっけ……」というようなことがありました。マーフィの法則ではないけれど、ほしいときに探し物は見つからず、何回もフォルダを総点検して、ようやく目的の画像を発見したのです。そのときに「う〜ん……簡単にいい写真だけとっておく方法はないかなぁ……」と思ったのが「PHOTO Selector」の初期アイデアでした。

最初の公開バージョンでは、画像を眺めながら「気に入った」と思ったら【return】キー（軽快なシャッター音！）、「うぁ失敗〜；」と思ったら【delete】キーを押すことでファイルの移動を行うようにしました（「お気に入り画像」は本体そのままに別ストックします）。ただ、僕の開発ツールではファイル周りの機能がなかなか思うように動作してくれず、ずいぶん苦労したのを覚えています。

その後、短期間にいくつものバージョンアップを重ねるのですが、いつも頭にあったのは「僕自身が毎日使いたくなるソフトにしたい」ということでした。そのために「僕が」不要な機能（例えば動作が遅くなるサムネイル表示など）は思い切って省き、逆にほしい機能（ファイル移動時の心地よいサウンド・お気に入りフォルダの一発ロードなどなど）は既成の枠にとらわれず盛り込んであります。

現在も開発はつづいています。

最新バージョン（2.0β）ではたったいまいらないといった（＾＾;）サムネイル表示を実装──「基本的にいらない」「単に表示する以上の機能を持たせたい」という難題を独創的なアイデアで両立・解決してあります。そのほか各部安定・高機能化を追求し、シンプルな表面機能と「こんな機能があったらいいな」的な舞台裏機能（メニューやコンテキストメニューからアクセスできます）を兼ね備えました。プログラミングに挑戦しようかどうか迷っていた時代を含め、いろいろな試行錯誤を乗り越えて、ようやく「愛用の一本」と呼べるソフトになったと思っております。