よくまとまった時計ソフトである。なによりありがたいのは、このソフトの最大の特徴である、マウスポインタが時計をすり抜けて背後にあるウィンドウを直接操作できることだが、それ以外にも細かな配慮が行き届いている。例えばマウスポインタの形状だ。形状は通常のものを含めて5種類用意されているが、通常のもの以外を使うことで、ポインタが時計を指しているのか背後のウィンドウを指しているのかが一目瞭然になり、非常に使いやすい。逆に、これがなければ使いにくいものになっていただろう。
また、アラームに指定した時刻を時計にマークできるから、その時刻までの残り時間を直観的に把握することができる。これなどアナログ時計の特徴をよく生かした機能だ。
パソコンの時計というのは結構狂うもの。時計合わせをアラームに設定して定期的に修正することで、常に正しい時刻を表示できるのもありがたい。このとき、常時接続でないダイヤルアップユーザ向けに、時計合わせ実行時の自動接続、自動切断機能も実装されるという用意周到ぶりだ。
「ホール」機能はおもしろい発想で評価できる。ただ、実際には使わなくても困る場面はあまりないだろう。慣れればロック機能を使わなくても、時計があることをほとんど意識せずに背後のウィンドウを操作できるようになると思う。使うのなら、筆者のお勧めは「逃げる」だ。
時計なんて邪魔にならないのが一番、タスクトレイの隅のデジタル時計で十分と思っている人も、試しに一度使ってみてはいかがだろうか。アナログ時計でも邪魔にならないように工夫されていれば便利なものだ、ということを実感していただけると思う。
(土屋 佳彦)