はじめに断っておきたいのだが、以下に提示した「条件」はあくまで筆者の独断と偏見である。付箋紙ソフトはこうでなければいけない、というものではなく、自分が使うのであればこういうのがいいな、という程度のものだ。
ここに挙げた条件が必要ない人もいるだろうし、逆に足りない人もいるだろう。付箋紙ソフトの使い方は人によって千差万別であるので、完璧な選定条件など存在し得ない。ひとつの参考意見として頭に入れておいてほしい。
●付箋紙の色、フォント、大きさが可変
これはもう、なくてはならないというか、当たり前といってもよい機能。付箋紙上の文字色も変更できた方がいいが、最低限付箋紙の色が16色くらいから選択できて、フォントもいろいろ選べないと使いにくい。文字の大きさ、文字列の長さに応じて付箋紙のサイズを自動的に変更する機能もあるとうれしい。さらに、複数のメモのプロパティをまとめて変更する機能もできればほしい。5枚中の3枚だけを色変更するといったものだ。
●自動保存・呼び出し機能
入力した瞬間から自動的にセーブされていて、再起動したときには勝手に読み出されるようでないと付箋紙としては使えない。セーブするにしても、1枚の付箋紙を1ファイルで保存するのは好ましくない。それぞれのプロパティが存在していても、まとめて1ファイルにしておかないとディスクの圧迫するばかりだ。
●自動整列機能
デスクトップの自由位置に付箋紙を貼りまくるとどうしても乱雑になっていく。ある程度まではいいのだが、枚数が増えるとただ苦痛なだけ。自由位置に貼り付けることができると同時に、必要があればデスクトップ右上からスラッと並べることができる自動整列機能がほしい。不要になった付箋紙を削除すると同時に整列し直すことができればなおいい。また、この操作は複雑ではいけない。メニューからのワンアクションで操作可能であってほしい。
●表示場所を固定できる(あるいはグリッド整列できる)
自動整列機能と連動しているが、付箋紙を貼り付けた場所を記憶し、再起動しても同じ場所に表示する機能もほしい。乱雑だが本人にとってはわかりやすい配置というのもあるのだ。仮想的なグリッドを用いてピタリと納まる機能があるとなおよい。
●ショートカットキーによる新規作成、編集、削除作業
マウス操作でメニューを呼び出し、次にキーボードに移ってメモの追加を行う……というのがごく普通の操作だと思われるだろうが、電話しながら付箋紙に記入などということをやっていると、いちいちマウス→キーボードという切り替えが面倒になる。特定のショートカットで新規作成モードに入り、すばやく入力して[Enter]キーをたたいて貼り付け、という操作ができると使い勝手がよい。新規作成以外でも、いらないメモを削除したり、メモに変更や追加があったときの編集作業がワンアクションでできないことには使いにくいだろう。ついでにいうなら、新規メモの入力ウィンドウを閉じずに、連続で付箋を作成する機能があるとさらによい。いちいち新規作成→入力とやらず、他のアプリケーションからのコピー&ペーストで新しい付箋紙が次々に作れればなおベターだろう。
●隠し機能
これは裏技という意味ではなく、特定のメモを非表示にすることができるという意味だ。表示しっぱなしなのが付箋紙の基本だが、他人に見られるとまずいメモもあるだろう。そうしたメモだけに隠し属性を付けておくわけだ。メモ全部を非表示にする機能ももちろんほしい。また、隠したら隠したで「隠しメモがある」ということをどこかで知ることができないと、本当に隠したまま忘れてしまいかねない。日時を設定しておくと、ポップアップしてくるとか、隠し付箋紙があることをどこかのステータスで知ることができて、明示的に呼び出せる機能があると便利だ。
●履歴を呼び出せる
絶対ないと困るというわけではないのだが、すでに不要と判断して削除したメモの履歴が残っていると、「あっ、しまった」ということが少なくなる。少なくとも1回分は取り返しがつくというわけだ。例えばWindows同様にゴミ箱を持っている付箋紙ソフトがある。いらないメモを削除しても、付箋紙ソフト自体が持つゴミ箱を空にするまでは本当の意味では削除されないというものだ。こうした機能を持つことで、ありがちな「ついうっかり」から回復できる。
●記入したURLをブラウザに渡せる
付箋紙の内容として、インターネットのURLやメールアドレスを記入することも多いだろう。メモの中に書いてあるのをいちいちコピー&ペーストするより、クリックしただけでそのままブラウザやメーラが起動した方が便利なのは間違いない。また、メモに実行ファイル名を記述しておくと、クリックしただけで起動できる簡易ランチャ的な機能もあると便利だろう。
●メモの立体表示
単調な付箋紙が画面にベタベタと貼り付いているのも味気ない。影を付けるなどして立体表示のメモにすることで、少しはカッコよくなるというものだ。本来の目的からすれば意味がないかもしれないが、見栄えにこだわる人にはほしい機能のひとつ。ついでに、壁紙を透過する付箋紙が作れると邪魔にならなくてなおかつカッコいい(透明化しておきながら、立体効果を出せなどという贅沢はいわない)。
●その他
ネットワーク対応の付箋紙ソフトも増えてきた。LAN内のパソコンにメモを送りつけたり、同じメモを共有するという機能だ。進んだものでは、付箋紙を使って簡単なメールチャットができる返信システムを持つものもある。ほかに、付箋紙に画像や音声といったマルチメディアデータを含ませることができるものもある。ほかには、特定日時までのカウントダウン機能や、テンプレート機能など、さまざまな装備を持つソフトもある。これらの機能は筆者にとっては必須ではないが、使い方によってはあると便利な機能だろう。
ずいぶんと長くなってしまったが、日常的に使うものだけに使い勝手にはこだわりたい。こうした条件を考慮に入れた上で、数ある付箋紙ソフトからいくつかのソフトを取り上げ、ご紹介したいと思う。
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