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■最大で過去90日間までのアタック履歴がグラフ表示できる
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CATVインターネットやフレッツ・ISDNなどの登場で、インターネットへの常時接続を行うユーザが最近、格段に増加している。だが、常時接続は便利な反面、「クラッキング」と呼ばれる破壊・侵入行為からの攻撃にさらされやすいという危険性もはらんでいる。
インターネットに接続するための機器、例えばダイヤルアップルータなどには、パケットフィルタリングなどの最低限のアタック防止機能が備えられているが、こうした機能を利用してもなお、防御機能をすり抜けて我々のPCを攻撃してくるアタッカー/クラッカーといった人がいる。ましてや、単なるTAでフレッツ・ISDNに常時接続している場合、あるいはCATVやマンション内のインターネット接続機能を使っている場合には、さらに危険だ。こうした状況では、アタックはほとんど「素通し」となってしまう。これはたとえて言うなら「家の玄関に鍵をかけずに外出している」ようなものだ。
こうした状況では、TCP/IP通信を監視して、コンピュータに対する侵入行為や破壊行為を防止する「パーソナルファイアウォールソフト」をぜひとも導入したい。そうしたソフトのひとつ「BlackICE Defender」は、侵入を防御するばかりでなく、侵入者に対する情報検索機能や侵入方法に対する説明などが充実している点が特徴だ。
「BlackICE Defender」は、起動するとWindowsに常駐して、発生するネットワーク通信を常時監視する。ユーザが意図しない間に行われるような外部からの侵入や破壊、あるいは情報の漏洩などが発生すると、まずこれを防御し、かつそれをユーザに報告する機能を持つ。そうした行為(アタック行為)が検出された場合、まずアタックしてきた相手のアドレスを記録して、これを逆に調査し、知りうる限りで相手の身元を調査する機能もある。一度インストールすると、二度目からはWindowsの起動と同時に常駐するため、それ以降は安心してネットワークを使い続けられるというわけだ。
外部のアタックからネットワークを積極的に防御する
侵入が試みられた場合、それが発生した日時、侵入者のIPアドレス、試行回数などとともに、その手法も記録される。手法に関しては「advICE」と呼ばれるボタンをクリックすることで、侵入方法、対策方法などを記述した説明ページを表示できる。さらに、アタックの回数やネットワークの負荷は、最大で過去90日間に渡ってグラフとして記録することもできるため、そのパソコンがどれだけ安全な状況にあるか、あるいは危険なのかがわかるようになっている。
さらに「BlackICE Defender」には、設定によって特定のIPアドレスからの通信を遮断する機能もある。例えば、何度も繰り返されて発生するアタックに関しては、放っておくのではなく積極的に通信自体を遮断する機能があるわけだ。これを設定しておけば、アタックに対する危険性はより減少する。
筆者は、これまでダイヤルアップルータのパケットフィルタリングを使用して、アタックを防御していたつもりでいたのだが、「BlackICE Defender」を導入して以来、こうしたフィルタリングをすり抜けて到達するアタックが意外に多いことに気づかされた。気休めとはいえ、多少の防御をしていた筆者の環境でさえこれなのだから、何も防御策を施していない常時接続では、ぞっとするほど危険な状況にいることは間違いない。
西暦2000年は、誰でもインターネットに常時接続できるようになった“常時接続元年”といえる年であった。だが、こうした便利さを享受するには、防御の方もしっかり行う必要がある。自分のPCに侵入されて泣くことがないよう、来る21世紀の最初の年である2001年は“セキュリティ元年”として、ネットワークの安全性にも配慮したいものだ。
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