自らを「消されるだけの存在」と感じている少女と、不治の病によって死にゆく存在の女性との交流を描いた、切ないビジュアルノベル。前作「ナルキッソス」も同梱されている。「ナルキッソス2」はソフト名の通り、「ナルキッソス」シリーズの二作目にあたるビジュアルノベル。ヒロインとなるのは前作「ナルキッソス」(以下「1」と表記)と同じ「セツミ」。「1」からおよそ6年前にセツミが体験した内容が描かれる。
舞台は、とあるカトリック系病院の“7階”。7階は、不治の病にかかり、死を間近に控えた末期治療患者だけが入院を許される「ホスピス」となっている。病院の最上階にあたり、見晴らしもよい。病室は明るく廊下はピカピカに磨かれ、ほかのフロアよりも天井が高く広々としている。一方で、病院における最大の目的の「治療」行為は行われず、病院の中で唯一、精神的なケアに重点が置かれる。
その7階には、住人――死にゆく当事者――の間だけで伝えられ続けてきた秘密の情報がある。いわく「4回目はない。3回目の入退院が最後だから覚悟しろ」「ここでは友人を作るな」「逃げたいときはA駅ではなく、B駅へと向かえ」「何も食べるな、それが家族にとっても一番負担が少ない」……。「死」という絶望が渦巻く舞台で、物語は展開してゆく。
3年前に発病し、カトリック系病院に通う15歳の少女「セツミ」は、自身のことを「ただ消されるだけの存在」と考えていた。ある日セツミは、ひょんなことから7階に入院している23歳の女性「姫子」と知り合う。「自分はエセカトリック」と自嘲し、「どんなに頑張っても、あと半年くらいだからさ」と言いながらも、姫子の言動はどこまでも明るく奔放だ。セツミは、半ば強引に姫子から「年の離れた友だち」扱いを受け、姫子が死ぬまでにしたい三つのことに付き合わされる。
そのほかの中心人物は「優花」と「千尋」の二人。優花は、姫子の古くからの親友だが、姫子とは趣味も性格も正反対。ケンカ口調で素直になれない女性だ。千尋は姫子の妹にあたる、心優しき敬虔なカトリック信者。ボランティアで7階のヘルパーを勤めている。
「ナルキッソス2」のプログラム中には、前作「1」が同梱されている。スタート画面で「1」と「2」のどちらをプレイするかを選択できる。選択の際、ボイスのあり/なしを指定する。「ボイスあり」では、主要な女性キャラが全員フルボイスでセリフを語る。「ボイスなし」では、テキストとBGMだけで物語が進む。
システムは「NScripter」が使われている。基本的な操作や仕様は「NScripter」に準拠する。通常の画面表示はかなり横長のスコープサイズで、ビジュアルの下に字幕が出る。「オートモード」もあり、ONにすると文字送りが自動で行われるようになる。ボイスあり+オートモードON+フルスクリーンの状態でプレイすると、横長の画面も相まって、あたかも映画を観ているかのように楽しめる。
物語は20章に分かれており、プレイ時間はおよそ2〜3時間(「1」はプロローグを含めて9章立て)。画面の右クリックでメニュー画面が開く。メニュー画面からいつでもセーブやロードが行えるほか、オートモードの速度変更、フルスクリーン/ウィンドウ表示の切り替え、音量調整なども行える。音量調整では、キャラごとのボイス、BGM、効果音をそれぞれ個別に設定できる。