「Rip!AudiCO」は、MP3/WMAなどの各種音楽ファイルの作成や相互変換を行えるマルチオーディオコンバートソフト。タグのコード変換など、携帯プレイヤーで音楽を楽しむために便利な機能を多数備える。初心者向け「若葉ウィザード」で、はじめてでも戸惑うことなく、目的の処理を行える。

ソフトの中心となるのは、ファイル形式の相互変換機能。対応する形式は、WAV（音楽CD）/OGG/MP3/WMAで、任意の変換元・変換先を選択して変換を行える。変換元と変換先のファイル形式が同一の場合でも、ビットレートなどのエンコードパラメータを変換できる（WMA/MP3の場合）。変換元として指定できるのは、ハードディスク内の個別の音楽ファイルのほか、複数の音楽ファイルを収めたフォルダを、「アルバム」として一括変換の対象にできる。

ファイル名およびID3タグの文字コード変換機能もある。携帯音楽プレイヤーのように、漢字表示に対応していない機種向けに、漢字→ローマ字/かな変換や、かな/半角カタカナ変換なども行える。ID3タグは、バージョンで変換規則などが異なるが、「Rip!AudiCO」では1.1/2.0（2.3/2.4）の各バージョンに対応する。さらに、文字コードもUTF-8/16などに対応する。

音楽CDのデータを抽出し、MP3/WMAなどに変換するリッピング操作も、もちろん可能。一般的なリッピングはもちろん、CD Extra/CCCDといった特殊なCDのサブチャネル情報を解析し、できるだけ正確に読み込めるようにする機能もある（サブチャネル読み取りに対応したドライブが必要）。リッピングの際には、CDDBにアクセスしてCD情報を検索し、曲名やアーティスト名などの情報を取得した上で、タグ情報に反映する機能もある。

そのほか、ファイル名の連番化や音量変換といった機能もある。ファイル名の連番化では、フォルダごとに「xx_yyy.mp3」といった形式で、自動的にファイル名に番号を付けることが可能。音量変換では、CDやファイルごとに音量を調節し、すべての曲が同じ音量になるように調整できる（ノーマライズ）。

インタフェースはわかりやすく、直感的に操作できる。メイン画面は、変換先のファイルタイプごとのタブ切り替え式となっており、ファイルタイプごとに変換元ファイルを指定する方式。変換元・変換先が異なるファイルでも、指定はまとめて行い、最後に一括変換することが可能だ。初心者向けとして、機能がわかりやすく整理された「若葉ウィザード」と呼ばれる画面も用意されている。若葉ウィザードからは、目的の変換機能をワンタッチで呼び出せる。さらに、ファイルをドロップすることで、変換リストに登録できる。

しかし、このように身近になったものの、この種のシリコンオーディオプレイヤーは、まだまだ初心者には敷居が高い。なぜかといえば、この種のプレイヤーはまず第一に、CD等のソースをMP3/WMAへ変換しなければならないという、大きな制約があるからだ。これにはパソコンが必要となるのはもちろん、ファイル形式やエンコードパラメータなどに関する知識が必要となる。さらにCDからの録音では「リッピング」という独特の操作も必要となる。

もっともリッピングに関していえば、最近のプレイヤーにはたいてい専用ソフトが付属する。Windows Media Playerにもリッピング機能はあり、不自由しない環境ができつつある。それよりも意外に盲点といえるのが、すでに存在する音楽ファイルを使用する場合の方だろう。というのは、WMAからMP3、あるいはその逆をダイレクトに変換できるソフトというのは、意外に多くないからだ。

さらに、MP3同士でもタグに日本語が含まれていたり、エンコードパラメータが違っていたりする場合には、変換が必要だ。しかし、こうした細かなことは、初心者にはわからない。MP3なら再生できるはずなのに、なぜか曲名が出ないとか、再生できないとかいうお手上げの事態にもなりかねないのだ。

「Rip!AudiCO」のメリットは、こうした「既存のファイル同士」の変換が非常に楽に行える点にある。とにかくシリコンオーディオプレイヤーを活用したい人にとって、非常に便利に使える、強力なソフトといえる。

1. プレイヤーの液晶がファイル名、ID3タグの日本語表示に対応していなかった
2. プレイヤーがWMA形式に対応なので、いままでMP3ファイルとしてハードディスクに保存していた。ファイルをWMA形式へID3タグ付きで一括で変換したかった
3. 当時はWAV/MP3形式からWMA形式への変換ソフトがあまりなかった。また自分にとって使い勝手がよいものがなかった
4. エンコードソフト環境もまだ貧しい時期だったため、ファイルの音量がバラバラになっていたので、統一したかった

開発中に苦労した点
はじめの目標は特に苦労なく開発できていたのですが、4年の歳月とともにPC音楽環境自体が大きく変化していったこともあり、否なしに新情報・新技術に追われることになりました。

• 逆形式変換への対応（MP3からWMAだったのがWMAからMP3も）
• シェル拡張（コンテキスト（右クリック）メニューによる登録）
• 新しい音楽フォーマットの登場、既存フォーマットのバージョンアップ、それにともなうタグ・変換形式の追加（ID3 Ver.1/2.4やWAV、Ogg Vorbis、WMA 7/8/9、mp3PRO）
• 音楽CDからの変換への対応、インターネットからの楽曲情報取得（CDDB）
• 各形式についての相互変換

機能が増えるたびに、テストパターンが増え、仕様環境による依存の問題が多くなって、開発よりも環境（OS、ランタイムあり/なし）ごとのテスト・調査に追われることもしばしばです。

ユーザにお勧めする使い方
結果的には当初の開発の動機となった利用目的自体を包括した、「音楽ファイル形式の相互一括変換ソフト」という汎用的な利用が可能なソフトウェアへと成長できたのではないかと思います。よって、

音楽CDを作成するためのWAV形式へのデコーダとして利用してもよし

音楽CDから特定ファイルを作成するためのエンコートソフトとして利用してもよし

音楽素材やデータ作成のための中間形式コンバータとして利用してもよし

ファイルサイズ軽減のためのビットレートコンバータとして利用してもよし

今後のバージョンアップ予定
具体的な機能追加内容はまだ決まっておりませんが、開発当初から、「マニアックな高機能」を目指すよりも、「はじめて本ソフトに触った方でも、PC自体初心者の方でも、お年寄りの方でもマニュアルなしでも使えるわかりやすいソフト」を目指して開発してきました。

※Ver.4になってサボっていた（笑）、操作マニュアルも作成し、一層簡単にわかりやすく利用できるようになったと思います。

よって、今後も「わかりやすくて簡単に使える、それでいて多機能」を目指し、機能改善を行っていきたいと思います。