剣技や魔法を使ってモンスターと戦うオーソドックスなタイプのRPGだが、ストーリーや演出が凝っていておもしろい。ゲーム冒頭の王宮の場面から、「おっ」と思わされた。王宮や街など各所のマップが広く、いろいろな人と話ができるのも楽しい。レアアイテムや隠しアイテム、料理、ダンジョンなど、やり込み要素もたっぷりと用意されている。ゲームが進むにつれて使用するキャラ(主人公)が次々と変わり、新たな技能や戦法を楽しむことができるのもうれしい。それぞれが入り組んで関連するストーリー展開も魅力的だ。オープニングやモンスターとの戦闘で、すべてのキャラがセリフを喋るというのもすごい。また、【Shift】キーを押して発動する「フリートーク・システム」では仲間同士の会話を楽しめるなど、間違いなく他のRPGと一線を画す力作である。
それだけに、惜しい点も散見する。登場人物みずから言っていることだが、各ダンジョンで登場するモンスターの種類が限られ、戦闘が単調になってしまいがちになってしまう。モンスターの出現確率も高めで、ザコモンスターとボスキャラとの強さの差もちょっと大きいように思えた。また、同じダンジョンの中や、ダンジョンと他の場所を往復しなくてはならないケースが多いのも気になった。このあたりのバランスを調整すれば、より一層おもしろいゲームになるだろう。
筆者の環境によるのかもしれないが、ダッシュを使わないときの移動が少し遅いこと、そしてなによりも、オープニング以外の場面では、せっかくのキャラクタボイスがBGMにかき消されてしまい、聞き取りづらかったのがもったいなく思える。とはいえ、これらの点があるにしても、秀逸なRPGであることに変わりはない。魅力的なキャラと大きなストーリーを、ぜひ楽しんでいただきたい。
(秋山 俊)