計算は、入力ボックスにテキストで式を入力して行う。式で利用できる文字は半角英数字や記号で、四則演算の例では「＋」「−」「＊」「/」となる。括弧は複数重ねることで、中括弧や大括弧として扱う。

基本的な演算子に加えて、円周率（pi）、三角関数（sin、cos、tan）、逆三角関数（atn、asn、acs）、√（sqr）、常用対数（log）、累乗（^）の関数や演算子が用意されており、ボタンのクリックで計算式に挿入される。「pi」などの文字をキーボードから直接入力することもできる。

変数を利用して式を分割することも可能。あらかじめ計算式を変数として定義しておき、入力ボックスに変数を用いた計算式を入力して計算を行う。これにより、複雑な計算や数値を変動させた計算を行えるようになる。変数式の中に、別の変数を含めて定義することも可能だ。

変数は、〜まで最大20個を定義できる。例えば、「半径8の円の面積」を求める場合、変数「」に「8」を、「」に「3.14159265358979」を設定しておく。入力ボックスに「＊＊」と入力すれば、「半径×半径×円周率」の計算ができるというわけだ。「」の数値を変更することで、さまざまな半径の面積を簡単に再計算できる。

変数を利用して、計算式にさまざまな値を与えていくことができるのも利点といえる。複雑な式をあらかじめ設定しておけば、計算式本体の入力を短くできるし、代入する値を変数として設定すれば、データを変化させることによる、さまざまな解答を得ることができる。

表計算ソフトでも同様のことが可能だが、手軽に利用できるという点で勝っている。過去、あるいは現在習っている公式を入れてみるだけでも面白い。球の体積の公式を「身の上に心配あるので参上」と暗記したのを思い出したので入力してみたら、きちんと計算できた（当たり前だが）。

四則演算はもちろん、三角関数や対数など、通常の電卓ではサポートされてない計算も簡単に行うことができるので、関数の利用頻度が高いユーザにとっても便利に使えるだろう。

要望を言わせてもらえば、設定した変数を用いた計算式を記憶できる機能があると、より便利に使えるのではないかと感じた。電卓のテンキーのように、数値を入力するためのボタンがあると、さらにスムーズに計算を行えるとも思う。

「式で計算機」は、イメージ通りに答えを導くことができ、かつ標準以上の計算機能備えた電卓ソフトだ。手軽に計算したいユーザ、難しい計算を必要とするユーザなどにお勧めしたい。

そうした中で、今回「式で計算機」をリリースすることができました。プログラムを通じて順序立てて考え、順序を正確に表現する勉強ができればいいなと思っています。それに、ベクターサイトを通じて小回りの利くものや技ありのソフトと出合いました。私たちも作者として、その末席につかせてもらい、喜んでもらえるソフトを提供したいと願っています。

計算時に、長い式などは小分けして変数にできるようにしています。式の中で使われている変数を数字に置き換える部分を担当してもらいました。まだまだコードを駆使することはできませんが、広告の裏にアルゴリズムらしきものを書いてくれました。変数は1から20までありますが、一桁と二桁で、いつも同じではない文字数の変数番号を取り出すのに苦労したようです。コードは書けなくても思考を表現できることで、立派なプログラマだと思っています。親ばかですね（編集部注：御息女が、変数部分を担当したものと思われます）。

私自身は、括弧や関数が入れ子になる処理で、何回か壁に突き当たり苦労しました。「下手な考え、休むに似たり」という言葉がありますが、実際何回この言葉に助けられたことでしょう。プロのプログラマなら、壁をよじ登ったり壊すのでしょうね。でも私たちは作業を打ち切り、とりあえず休息、それから遠回りして別の道を探して進みました。そうすることで、不思議に妙案が浮かぶことが多かったです。

ユーザにお勧めできるような使い方は特にありませんが、お使いいただいて「こんな使い方もあるよ」と教えていただけるとありがたいです。ホームページ上で「お勧めする使い方特集」なんてできると、すばらしいと思います。

いまは、とりあえず走り終えた安堵に似た心持ちで、具体的な展望は見えませんが、お使いになられた方のご意見・ご要望などお待ちしています。辛口のご意見なども。それをばねに、バージョンアップに向けて始動したいと思っています。