パソコンの画面上で立体をデザインする3Dモデリングソフトは、いわば「コンピュータグラフィックスの花形」的な存在だ。見た目にも「すごそう」という感じを与えるものだし、パソコンを持つ人の多くは「一度は試してみたいジャンル」と考えるのではないだろうか。ハリウッド映画の派手なCGなどが、実はコンピュータで作成された3Dグラフィックスを応用してあるものだ、などという話を聞くと、自分のコンピュータでも同じことができないだろうかと、わくわくする。しかし、いざ3Dモデリングソフトを触ってみると、たいていの人はその難解さに挫折してしまうことが多い。なにしろ3Dモデリングソフトは、最初に理解しなければならない概念や単語が、他のジャンルのソフトに比べると異常に多い。ソフトの操作性も、ソフトごとにばらばらで統一性がないので、多くの人はソフトを使いこなせないまま、せいぜいサンプルファイルを読み込んで表示させる程度で終わってしまうことが多い。
「TriangleEditor」は、そうした「3Dソフト挫折組」の人にこそ使ってみてほしいソフトだ。なぜなら、「TriangleEditor」における立体の概念は、すべて三角形ポリゴンで実現されているという、普通の人にとって非常に理解しやすいシンプルなものだし、機能的にもそう多くないソフトなので、実際に使ってみたときのわかりやすさは、他のソフトの非ではないからだ。
もっとも、単純であるがゆえに、例えばテクスチャの貼り付けやレイトレーシングを用いた「派手」なデータは作成できないという制約はある。しかし、そもそも3D「モデリングソフト」というのは、立体の形状を定義するためのもので、派手な絵を作成したり、動画を作成したりするのは、他のソフト(例えば「レンダラ」と呼ばれるジャンルのソフト)の仕事なのだ。「TriangleEditor」では、もちろん、そうした他のソフトでデータを利用しやすくするためのDXF出力機能を備えている。
「モデリング」の概念、初歩の初歩から学ぶのには、こうした基礎的なソフトが非常にに適している。3D CGについて理解したいと思っている人は、ぜひ試してみていただきたい。サンプルも同梱されているので、「ちょっとだけ触れてみたい」という人にもお勧めできる。
(天野 司)