タイピングソフトだと思ってはじめたが、ストーリー的にかなり練ってあるので、単純にゲームとしても楽しめた。話の発端を紹介すると、「主人公は、スクープ連発のすご腕フリーカメラマン。某有名タレントを追って入った建物の中はゲームセンター? そこでフリー会話システムの『魔王復活阻止ゲーム』に出会い、ふとゲームの世界に迷い込んでしまう。ここから彼は、正体不明の組織が繰り出す敵と戦うハメになる……」というもの。ゲームストーリーは、RPGライクな「顔のイラスト+説明文」の画面の中で、主に主人公と敵キャラとの会話の形で語られていく。この敵キャラとのやり取りがなかなかユニークでおもしろく、また、会話の中に攻略のためのヒントも含まれていたりして、アクションRPGとしての楽しみもある。ゲームが進むにしたがって少しずつストーリーの全貌が明かされるなど、構成がしっかりしていてプレイヤーを飽きさせない。
「4択クイズタイピング」は、クイズの解答を選択肢の中から選んで、キーボードからそのままタイプする。解答選択肢として、日本語とそれに対応するローマ字が表示されていて、どれかの解答をタイプしはじめると、その文字が先頭から順に消えていく。したがって、プレイヤーは主に(キーボードではなく)画面を見ながらタイピングすることになる。また、解答ミスは大きなダメージになるが、ミスタイプについては30回でHPが1減るだけなので、恐れずに画面の文字列を見ながらどんどんタイプした方がよい。このため、プレイヤーはクイズを楽しむと同時に効果的にタッチタイピングの練習ができるわけだ。
タイピング練習ソフトとしては、最初の面の1文字からタイプする文字数がだんだん増えてステップアップしていくが、まったくの初心者には難しいかもしれない。ひと通りキーの位置を覚えてゆっくりタッチタイピングができる人が、正確さとスピードを上げるのには効果的な練習となるだろう。人によっては、ローマ字入力の仕方が気になるかもしれない(「ん」が変更できないらしいのが残念)が、ある程度コンフィグもできるし、打つべき文字(ローマ字)は画面上にいつも出てくるので、特に問題はないだろう。
逆に、ある程度タイピングに自信を持っている人なら、ゲームが進むにつれてタイピングの難易度は上がっていくものの、クリアできないほどではないので、ゲーム自体(クイズの解答やタイピング)に集中できるはず。敵を倒すには苦手な問題でアイテムを効果的に使うなど、多少の工夫は必要だが、解答ミス、ミスタイプによるダメージポイントなど、細かいことは特に意識しなくてもいいだろう。
(坂下 凡平)