人の念により形を成す「コゴリ鬼」を退治するために孤島で奮闘する少女と、島の人々の生き様を描いたビジュアルノベル。「送電塔のミメイ」は、人の念が生む化け物を退治する少女「ミメイ」が主役の和風ファンタジーノベル。物語の舞台は「廃墟離島」と呼ばれる小さな島。廃墟離島はその名の通り、本島から遠く離れた島だ。住む人も少なく、半ば世の中から忘れ去られてしまっている。外から人が訪れることはほとんどない上、島から出ていった者の多くは戻ってこない。
廃墟離島には、しばしば「コゴリ鬼」と呼ばれる“ヒトではないもの”が現れる。コゴリ鬼はもともと黒く形のない塊で、島の各所にある結界の穴から湧き出す。湧き出たコゴリ鬼は人に憑き、その人物の強い想いを写した姿に変化する。最終的にコゴリは宿主の命を奪ってしまう。コゴリ鬼は、はるか昔――この島に人が移り住んだころ――から存在していたが、近年、本島からやってきた技術者たちが鉄の送電塔を建ててから、より頻繁に姿を見せるようになったという。
プレイ時間はおよそ3時間。物語は分岐することなく、完全に一本道で進んでゆく。
物語は、廃墟離島に「ミメイ」という少女がやってきたところからはじまる。生真面目だが、ちょっとトボケたところもあるミメイは、常に赤い蛇の目傘を持ち、剣の代わりに傘を振るってコゴリ鬼と戦う。また、あらゆるものの未来を垣間見られる「先識」の能力があり、その才を使って化け物を退治してゆく。
ミメイが島で最初に出会った相手が「夜刀」。軍服のような衣装に身を包み、腰に大小2本の刀剣を持つ隻眼の青年だ。夜刀には、なぜかミメイの先識が及ばない上、「俺はコゴリ鬼を喰う」などと言ってのける。
ミメイは、夜刀もコゴリ鬼らしいと判断し、戦いを挑むものの、あっさりと返り討ちにあってしまう。精進して再度勝負を挑むことを宣言しつつも、島のことが右も左もわからないため、夜刀を頼って島での生活をはじめることに……。
物語は、ミメイと夜刀を中心に進んでゆく。鬼封じの家系に生まれた「矢代総一郎」と「鳥居杏子」、ミメイが居候する家の娘「ハナ」と母親の「ナギ」、山の鬼を調べに本島からやってきた男「テツ」など、島に暮らすさまざまな人物を絡めて物語が展開される。
ゲームシステムのエンジンは「吉里吉里2/KAG3」で、基本操作はエンジンに準じている。マウスの右クリックか【Esc】キーで設定画面が表示され、データのセーブ/ロード、文字表示速度の変更、画面表示サイズ(ウィンドウ/フルスクリーン)の変更などを行える。うっかり読み飛ばしてしまった部分を読み直せる「履歴の表示」や、「メッセージスキップ」「文章の消去」などの機能もある。データのセーブエリアは全部で40ヵ所ある(分岐がないので、あまりこまめにセーブする必要はないだろう)。
物語を最後まで読み終えると、タイトルメニューに「Extra」が追加される。Extraの中には「画像倉庫」や「動画再生」といった項目があり、ゲーム内で使われているCGやムービーを好きなときに繰り返し閲覧できるようになる。