「TTEdit」は、Windowsで使用するTrueTypeフォントをデザインするためのソフト。Bスプライン曲線を編集して書体を作成し、TTF形式のファイルとして保存できる。作成できるフォントは和文、欧文、欧文シンボルの3種類。等幅またはプロポーショナルを指定することも可能だ。

書体をデザインするには、まず初期設定として、文字の基本的な大きさとなる「仮想ボディ」と、アセント（ベースラインより上の部分の高さ）およびディセント（ベースラインから下の部分の高さ）を指定し、作図エリアとなるウィンドウを開く。作図エリアにドローツールの要領で文字を描いてファイルに保存し、保存したファイルを「フォント」コントロールパネルからインストールすれば、Windowsで使えるようになる。

作成の際には、既存のフォントや画像を下絵のように表示させて、なぞりながら描いたり、既存のフォントから文字を読み込んで直接加工したりすることも可能。ウィンドウにグリッドを表示させたり、補助線を描いたりすることもできる。

描画は、文字の角や輪郭線の通過点となる「オンカーブ点」と、線の“張り”を調整する「オフカーブ点」とを組み合わせて行う。オンカーブ点/オフカーブ点にはそれぞれ専用の描画ツールが用意されているが、オンカーブ点を直線、多角形、矩形、楕円、鉛筆などの描画ツールで描くこともできる。

描画ツールのほかには、オンカーブ点/オフカーブ点の整列、文字全体の反転、線の分割などのツールがある。また、文字全体を選択した場合は、回転や拡大・縮小などの変形を行うことも可能だ。

さらにフィルタ処理機能を利用して、細字や太字、白抜き文字への変換を行うことも可能。フィルタはDLLを読み込む形で追加できるようになっている。

フォント作成を効率的に行うための機能としては、文字データの一括コピーや、ビットマップ画像の輪郭をトレースしてフォント化するインポート機能が用意されている。もちろん、ユーザが作成したデータのエクスポートも可能。さらに、VBScriptやJavaScriptによるマクロを使って、編集作業の自動化を図ることもできる。

（通常のフォントのほかに）外字作成機能もある。作成した外字データはWindowsにインストールされているすべてのフォントにリンクするか、特定のフォントだけにリンクするかを指定できる。リンクの解除も可能だ。

フォントファイルの新規作成時（既存フォントの読み込み時にも）に現れる編集ウィンドウをよく見ると、タイトル部分が「あ」となってる。つまりひらがなの「あ」専用の編集ウィンドウというわけだ。他の文字を編集するには、

• メニューやツールバーから順送りに表示させる
• 文字一覧ウィンドウから選択する
• 希望の文字または文字コード（Shift JIS/JIS/Unicodeのいずれか）を直接指定する

アウトラインデータの編集方法も、単にドローツールのように描画するだけでなく、既存のフォントや画像を下絵にトレースしたり、フィルタ機能を使って太字や細字を作り出したりと、バリエーションが多い。Webやチラシ用にロゴを作るときなどに、自分のイメージに合う太さのフォントがなくて困ることがあるが、「TTEdit」があれば、そんな悩みも解消しそうだ。

トレース機能を使って、手書きPOPの文字などを簡単にフォント化してしまえるのも魅力。一度フォント化しておけば当然、何度も使い回しが効くところが単なるグラフィックデータとの違いだ。

本格的なフォントデザインツールだからといって、なにもすべての文字をデザインする必要はない。POPや値札を作る機会が多い人なら英字や数字だけでも十分に役立つはず。チラシやWebページの制作で、他にない個性を演出したい方に広くお勧めしたい。

今後のバージョンアップ予定
次バージョンでWindows Vistaに対応する予定です。