「TextShop Tray」は、タスクトレイに常駐し、クリップボード内のテキストに対してさまざまな処理を行えるソフト。（1）テキストをコピー/切り取りでクリップボードに転送し、（2）「TextShop Tray」で編集して、（3）目的のアプリケーションに貼り付けるという手順で利用する。

用意された整形・変換機能は多彩だ。例えば整形では、「一定桁での折り返し」「指定した文字での改行」「指定した桁への文字列の挿入」「指定した行の指定した桁への文字列や連番の埋め込み」「指定桁の削除」といった操作が可能。行揃え（センタリング/右寄せ/左寄せ）や重複行の削除ができるほか、複数行を1行にまとめるといったことも可能だ。

変換機能では、「全角←→半角」「大文字←→小文字」「タブ←→空白」の相互変換が可能。全角←→半角の変換では、指定した文字種（アルファベット/数字/カナ）だけを変換することもできる。大文字←→小文字変換では「文頭の文字だけ」「単語の先頭だけ」を大文字にしたり、大文字と小文字を入れ替えたりといったことも可能だ。文字のコード化やコードの文字化、さらにShift JISとJIS/EUC/UTF-8/MIMEの変換、URLコードのShift JISへの変換といったことも行える。

正規表現に対応した置換機能では「"文字列"」を「（文字列）」に置き換えるような囲み文字置換や、複数ファイルの一括置換といった機能を備える。行単位でのソート（昇順/降順）では、単純な並べ替えのほか、桁ごとに最大三つまでの条件を組み合わせた複雑なソートも可能。特定文字列を含む行だけを抜き出すといったこともできる。

もちろん特徴といえば、非常に複雑な整形・変換処理が簡単にできてしまうことの方に注目すべきだろう。指定位置に文字や連番を埋め込んだりといった、もともと用意されている機能自体、複雑な処理を可能にするものだが、さらにマクロ機能を持っているので、手の込んだ定型処理でもあっけないほど簡単に実現できてしまう。

テキストデータをカンマ区切りのCSVファイルにするのも簡単で、また文字コードと文字の相互変換機能など、プログラミング時などにはかなり重宝するのではないかと思う。さまざまな場面で便利に使えるソフトだ。

よく使う機能をポップアップメニューの上部に追加できるなど、操作性もよく、使いやすい。ただ、欲をいえばメニューをホットキーで呼べるようになれば、もっといいかなという気はする。

姉妹ソフトにウィンドウ版の「TextShop 32」というものもある。ライセンスも同一なので、常駐版になじまない人はそちらを試してみるのもいいだろうと思う。

開発自体は「Tray」に機能を移植するだけだったので、意外に早くできたのですが、コピーして処理したあと、コピー時のソフトにフォーカスを戻す処理で苦労しました。

開発後は、単純な置換から大文字・小文字変換など、コピーしてすばやく「Tray」で処理できるので、プログラムを作る上でも非常に楽になりました。

特に便利だと思うのはマクロ機能でしょう。複数の処理をマクロに記憶させ、それを呼び出すことができます。私自身も開発用のマクロをいくつか登録しています。マクロを作る場合には「Tray」よりも「TextShop 32」の方が処理過程が見えるので楽だと思います。正規表現を活用すると、意外なくらいいろいろなことができます。

また、［オプション］-［メニューカスタマイズ］でよく使うメニューをメニューの上部に登録できます。これも便利です。私はマクロや置換などを登録しています。

いまは「TextShop 32」の機能を移植しただけなので、今後は「Tray」ならではの処理なども考えていきたいと思っています。