動画ファイルを、Video CDやDVD-Videoなどで使われるMPEG-1/2形式のファイルにエンコードするソフトウェアMPEGエンコーダ。出力形式はMPEG-1/2に限られるが、その代わり高画質かつ高速なエンコードを行えることが特徴。「CINEMA CRAFT ENCODER Basic」は、DVD制作などの業務用途向けに開発された高画質MPEGエンコーダ「Cinema Craft Encoder(CCE)」を、個人ユーザでも利用できるように機能を限定し、低価格化した製品。最新版となるVer.2.69では、心臓部にあたるエンコーダエンジンが一新され、機能追加により、さらに使いやすくなった。
新バージョンで追加された機能では、特にDVD作成に便利なものが目立つ。例えば、「フレームサイズ、フレームレート変換」機能は、DVD-Video/Video CD/Super Video CDの各規格に適合するよう、動画パラメータを自動的に変換するもの。DVDやVideo CDの場合、再生機器の互換性を確保するためにフレームサイズ、フレームレート、音声パラメータなどには厳密な規定があるが、「CINEMA CRAFT ENCODER Basic」では、エンコード元となる動画のパラメータがこの規格から外れる場合にも、規格に適合するよう自動的にフォーマット変換を行ってくれる。
ビットレートの設定では、目標とする出力ファイルサイズを指定することで、自動的にビットレートを逆算する機能を搭載。ファイルサイズが限られているDVDの作成には便利な機能だ。
エンコード元となる動画に対して、上下左右の各辺を任意のライン分だけ「黒塗り」する機能も追加された。ビデオデッキやキャプチャボードの種類によっては、画面の上下左右にノイズが発生することがあるが、これを黒塗りすることで、再生時に邪魔なノイズを取り除ける。また、ノイズ分がエンコードされなくなるため、同じビットレートでも、結果的にエンコード後の画質が向上する。
従来より定評のある画質についても強化が図られている。「独自アルゴリズムによる広範囲の動き検出」や、シーンの切り替わりを自動的に判別してIフレームを挿入する「自動シーンチェンジ検出機能」などを利用できるのはもちろん、2パスVBR(可変ビットレート圧縮)エンコードや、GOP構造(M/N)のカスタマイズ、Closed GOPの生成などを細かく調整できる。量子化特性(Q値)の調整や、ソース動画のインターレース解除、Bottom Field優先の出力といったことも可能だ。
ユーザインタフェースでは、入出力ファイルのフレームサイズやフレームレートの表示機能が追加された。そのほかにも、最後に使ったパラメータの自動保存機能、エンコード終了後のWindowsシャットダウンなどが新機能として加わった。「Adobe Premiere」用プラグインは、新バージョン「Adobe Premiere Pro」に正式対応。「Adobe Premiere Pro」から直接、MPEG出力を行えるようになった。