ダウンロード販売の状況

デジタルコンテンツのインターネット流通　　〜PCソフトウェアのダウンロード販売は実用期へ〜

　デジタルコンテンツとしてよく挙げられる物として、小説などのテキスト、PCソフトウェア、音楽、映像などがあります。
これらをインターネットで流通（ダウンロードによる販売）しようとした場合に考えなければならないのが、お客様がどれだけの価値があるものをどれだけのコストをかけて入手するのかという点です。

　そこでまず、お客様はダウンロードをする事にどれだけのコストをかけているのかを考えてみましょう。

　現在一般家庭にもっとも普及している一番快適な環境は、ISDNだと思われます。一部の地域ではADSLのサービスやCATVでのインターネット接続サービス、常時接続の環境が整えられつつありますが、実情はまだまだこれからといったところです。 

「表1　一般家庭でのインターネット環境と通信コスト」にあるように、現在一般家庭でのダウンロードは、
　　　　１MBのファイルをダウンロードするのに3分間かかり、約20円のコストがかかる
計算になります。これは、ネットワークの状況がかなりよい状態での計算ですから、実際にダウンロードを行うとこれ以上（場合によっては何倍もの!）のコストと時間を費やしている場合がほとんどです。

この通信コストは、デジタルコンテンツという商品を購入するための送料と考える事が出来ます。
そして、デジタルコンテンツを購入するときには、コンテンツの種類を問わずこれだけの送料がかかることになります。

では、デジタルコンテンツそれぞれについて１MB当たりの価格を計算して、１MB分の送料でいくらの商品が手に入るかを考えてみましょう。

「表2　デジタルコンテンツのMB価値と送料」をご覧いただければわかるように、小説などのテキストベースのデジタルコンテンツは、1,000円分の商品をダウンロードするのに、20円の送料を支払っている事になり、映像においては、1円分の商品を手に入れるのに20円を支払っている事になります。

同じようにPCソフトウェアについて考えてみると、200円分の商品を20円の送料で手に入れることになります。
このことから、
　　　　　PCソフトウェアのダウンロード販売は最も実用レベルに近い
と言えるのではないでしょうか？
また、今後通信環境が良くなり、通信コスト（=送料）が低くなるにつれ、大容量の物（=1MBあたりの価格が安い物）の流通も可能になっていくことがわかります。（MP3での音楽配信は、現時点ではまだ実験段階と言えます。）

図1　パッケージコストに追いつく通信コスト（出典：メリルリンチ証券）

今後、通信コストがパッケージコストにならぶのも、時間の問題といえるでしょう。

一方、インターネット上で買い物をするお客様は、ダウンロードでソフトウェアを購入する事に対して、どのように考えているのでしょうか？

図2　オンライン・ショッピング経験者（全体の47.2％）が購入したことがある商品（1999.12調査）
（出典：日経ネットビジネス 2000/2号）

「図2　オンライン・ショッピング経験者（全体の47.2％）が購入したことがある商品」をみると、既に多くのインターネットユーザーがダウンロードによるソフトウェアの購入を体験している事がわかります。 

• PCソフトウェアのダウンロード販売は、音楽のネット配信よりも一歩早く実用期が到来しています。
• 容量の小さなソフトウェアは、既に本番を迎えています。
• 今後回線速度の伸び次第で全てのPCソフトウェアがダウンロード販売可能になります。
• ユーザーは、ダウンロードでPCソフトウェアを購入する事を受け入れています。